寒川直喜、グルジアでキック世界戦に惜敗=日蘭の友好関係で生まれたタイトルマッチ

遠藤文康

グルジア在住の成長株チカゼに判定負け

グルジアで行われたWFC世界タイトル認定戦に挑んだ寒川。五分の展開だったが、手数と地の利により判定0−3で敗れた 【Giga Chikadze】

 7月3日にグルジアの首都トビリシで開催されたキックイベントに日本のバンゲリングベイジム所属の寒川直喜が遠征。メインイベントでWFC世界タイトル認定戦に挑んだ。対戦相手は地元グルジア在住で大会主催者でもあるギガ・チカゼ26歳。何度もオランダに滞在してはボスジムで練習と経験を積みイッツ・ショウタイムでも結果を出している成長著しい逸材だ。

 3RのK−1ルールで行われた試合はほぼ五分の展開。ジャブ応酬、寒川の強烈な前蹴り、チカゼ得意のジャンピングニーなど多彩で、延長もおかしくない内容だったものの手数の差と地の利を生かして、チカゼが3−0と判定をものにしWFC世界のベルトを腰に巻いた。グルジア最大のトビリシ・スポーツホールに8000人を集め大成功に終えた。

寒川「つかまえ切れなかった」と反省

チカゼ得意のジャンピングニーも見切っていた寒川だったが、手数の差が判定につながった 【Giga Chikadze】

 試合後の寒川は、「ダメージもないし負けたとは思っていません。序盤のパンチ数の差だと思います。右パンチがうまかったですね。後半は逃げに入ったのが分かりましたが、僕がつかまえ切れませんでした」と反省。セコンドについたバンゲリングベイの新田明臣会長は、「相手の腹も足も効かせましたし、ドロー延長が妥当かと思いましたが、判定負けでした。アウェイでは判定では勝てないことは分かっていたことなので、本人は悔しがりましたがたしなめました。ボスジムの方たちや多くの人と交流ができて本当にいい経験になりました」と振り返った。
 勝ったギガ・チカゼは、「寒川はアゴが強いです。危険な相手でした」と相手をたたえると、ゲストのドラゴは「チカゼだった。寒川も良かったが、でもチカゼだったな」と判定が妥当だったとした。

旧ロシア諸国でキックイベントに大きな動き

バンゲリングベイの新田会長、オランダのボスジム・ヒポリッと会長の15年来の友好関係により、グルジアでのタイトルマッチが組まれた 【Giga Chikadze】

 今回の遠征は新田会長とオランダ・ボスジムのイワン・ヒポリット会長の15年に及ぶ友好から生まれた。グルジア大会主宰のギガ・チカゼが選手手配をボスジムに依頼。ただし自分のタイトル戦の相手は日本人を、ということでヒポリット会長が新田会長へ選手要請。75kg世界タイトルに寒川が即応諾。全てがスムーズに動いた。日本のバンゲリングベイとオランダのボスジムとグルジア。大きなつながりが出来た。今後の展開に期待したい。

 グルジア近辺は日本には馴染みが薄いが地理的にグルジアの右下にアゼルバイジャンがある。今大会の1週間前にアゼルバイジャンではアルバート・クラウス、ヘスディ・ヘルヘス、モッサブ・アムラニ、ベン・サディック。イム・チビンなどを招聘してカバラ・ファイトというキックイベントが開催された。これはカバラ・シリーズとして定期開催される模様だ。またグルジアの左下はアルメニアである。ジョルジオ・ペトロシアンやドラゴ、ゲガール・ムサシなどの母国で彼らが大会を開く可能性は大いにある。ここにきて旧ロシア諸国がキックイベントに大きく動き出しているのは頼もしい限りだ。今後の動きを注目したい。
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