ラミレス、NPB復帰の展望と将来を語る「引退には早い」「夢は日本で指導者」

阿佐智

独立リーグにやってきた「超大物」

来日14年目を迎えたラミレス。群馬でプレーしながらNPBからのオファーを待っている 【(C)群馬ダイヤモンドペガサス】

 5月17日。群馬県高崎市にある城南野球場。この日行われたプロ野球の独立リーグ、ルートインBCリーグ・群馬ダイヤモンドペガサス対新潟アルビレックスBCの試合には開場前から多くのファンが列を作っていた。上信越地区の首位決戦が理由ではない。今季の群馬戦はリーグにとってもドル箱になっている。本来ならスター不在の独立リーグに「超大物」がやってきたのだ。

「向こう(米国)では、引退したビッグネームを入団させてファンを集めようとしているらしいね。独立リーグも客集めなあかんからね。それもありやろ」とは、ある独立リーグ球団の監督。彼はこの言葉にこう続けた。

「あいつもそういうパターンやろ」

 しかし、その「あいつ」こと、アレックス・ラミレスは「客寄せ」のためだけにプレーしているのではなかった。日本で育ったベネズエラ生まれのサムライは、NPBで完全燃焼するために、現在ここで牙を磨いている。

39歳「まだ引退には早い」

 メジャーリーグでもプレーし、日本では名球会入りまで果たした彼が、なぜ独立リーグでプレーすることになったのか。この問いに、「まずは、野球が好きだから」と答えてくれた。続けて、「群馬ダイヤモンドペガサスというチームを優勝に導くこと、NPBへの復帰」をその理由として挙げた。

 しかし、昨年外国人選手としては史上初となる2000安打を達成、すでに財産も築き、ある意味「やり遂げた感」はあるはずだ。そこのところについて尋ねても、彼の答えは明快だった。

「まだ引退には早いんだ」

 それならば、もっと高いレベルのリーグでプレーする選択肢もあっただろう。彼ならば、海の向こうでも十分にプレーできるはずだ。実際、彼と同郷で同年代のアレックス・カブレラ(元西武など)は一旦引退しながらも、この冬、母国ベネズエラのウインターリーグに復帰。シーズン本塁打の新記録を達成し、三冠王に輝いたあと、メキシカンリーグに挑戦している(ただしドーピングが発覚し永久追放)。これについても、こう答えた。

「確かに、米国やメキシコ、あるいはウインターリーグでもプレーはできたよ。でも、僕の目指すところはあくまで日本のプロ野球なんだ。だから日本の独立リーグでやるのは当然だろ」

 現在プレーするBCリーグについては、十分満足のいく環境だと言う。

「皆さんが思っている以上にレベルは高いよ。クラスにもよるけれど、米国のマイナーにもひけを取らないと思うよ。NPBのファームとも対等に渡り合えるレベルだね。実際対戦していい試合をしたからね」

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著者プロフィール

世界180カ国を巡ったライター。野球も世界15カ国で取材。その豊富な経験を生かして『ベースボールマガジン』、『週刊ベースボール』(以上ベースボールマガジン社)、『読む野球』(主婦の友社)などに寄稿している。

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