ラミレス、NPB復帰の展望と将来を語る「引退には早い」「夢は日本で指導者」

阿佐智

将来のNPB監督へ、今は「大きな経験」

今の目標と将来の夢を語るラミレス。「日本が大好き」という彼の夢はNPBの監督だ 【阿佐智】

 彼は主力打者としてプレーするとともに、打撃コーチの肩書で「NPB未満」の選手たちに指導も行っている。このことも、BCリーグを選んだ大きな理由だと言う。

「将来は、NPBで監督をやりたいんだ。その時のためにここで選手を指導することは大きな経験になるからね」
 
 現在のコンディションは上々だと言う。「今調子が良いからね。1軍でも十分3割を打てると思うよ」と、阪神、大阪近鉄などでプレーした川尻哲郎監督の言葉がこれを裏付ける。実際、17日の試合でも、2回の第1打席はきれいなセンター返しを見せると、1点を追う9回にも、バットを折りながら、技でライト前に落とし、2安打を放っている。

「この時期、NPBならオープン戦から数えてもう50試合くらいやっているのかな。こっち(BCリーグ)は25試合くらい。そう考えると、ちょうど調子も上がってきて開幕を迎える頃。今ならNPBでクリーンアップを任せられても十分チームに貢献できるよ。打率もホームランも期待されるだけのことはできると思うよ。特に僕はチームにとって一番大事な打点を稼ぐ術を知っているしね」

「どのチームからのオファーも飛んで行く」

 プレーのチャンスを与えてくれるなら12球団どこでもOKだ。弱点だと指摘される守備も問題ないと言う。

「確かに今はDHだけど、もう何年も外野手としてプレーしてきたからね。もしセ・リーグのチームからお呼びがかかっても、外野手としての調整もそんなに時間がかからないよ。だから、どこのチームでもオファーがあれば飛んで行くよ。契約してくれれば、感謝の気持ちを忘れずプレーしたいね」

 とは言うものの、彼自身、ユニホームを脱ぐ時期がそう遠くないことも重々承知している。自身の将来像についてはこう話してくれた。
「もし、NPBからオファーがなかったら? ウーン、来年のことまではまだ考えていないね。時間が解決してくれるんじゃないかな。コーチか、監督か、選手を続けるのか、そういうことはその時になって決めたいね。ただ、確かなのは、僕の最終的な目標は日本で指導者になるってこと。そりゃ、米国のチームでもコーチの職は見つかると思うよ。でも、僕は日本で十分に実績を残してきたし、日本の野球を勉強してきた。だから日本の若い選手だけでなく、日本にやってくる外国人選手にも良いアドバイスができると思うよ。そもそも僕は日本が大好きなんだ」

再びNPBであのパフォーマンスを……

おなじみの「ゲッツ」のパフォーマンス 。再びNPBの球場で見られるだろうか? 【阿佐智】

 母国への思いはどうなのだろう。ベネズエラに日本の野球を伝えるという選択肢はないのか。野球のグローバル化という潮流の中、国際大会では「日本野球」が注目されている。実際、最近球界の話題となっているキューバ人選手の来日も、日本の野球を学ぶことがその目的のひとつだという。しかし、ラミレスの口から出たのは、日本への強い思い入れだった。
「もちろん、機会があればやってはみたいね。でも、1週間とか1カ月という短期間なら、という条件つきだね。やっぱり僕の目標は日本で指導者になることだから、それより長い期間だと難しいかな」

 最後に、全国の野球ファンに以下のコメントを残してくれた。
「今まで応援してくれたことに感謝します。今も群馬ダイヤモンドペガサスで頑張っているんで、是非応援に来てください。そのうちNPBに復帰して、また『ラミちゃんパフォーマンス』を球場でも披露します。そのためにもガンバリマス」

 かつて北関東の侍たちは、決して豊かでない暮らしの中、戦に備えて、質実剛健を旨として武芸に励んでいたと言う。私には、赤城おろしの舞う中、ひたむきにプレーするラミレスの後姿が、鎌倉武士に見えた。もう準備はできている。あとは「いざ鎌倉」の号令がかかるのを待つだけだ。

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著者プロフィール

世界180カ国を巡ったライター。野球も世界15カ国で取材。その豊富な経験を生かして『ベースボールマガジン』、『週刊ベースボール』(以上ベースボールマガジン社)、『読む野球』(主婦の友社)などに寄稿している。

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