最後は団結したチームに神様がほほ笑む=都並敏史氏が語るリーガ優勝争い展望

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いよいよ最終説を迎えるリーガ・エスパニョーラ。バルサとアトレティコの天王山について都並敏史氏が語る 【画像提供:WOWOW】

 いよいよ最終節を迎えるリーガ・エスパニョーラ。優勝争いからは、終盤で好調をキープしていたレアル・マドリーが脱落。シメオネ監督率いるアトレティコ・マドリーは、残り1試合まで首位を守り抜き、最終節では勝ち点3差で追いかける2位バルセロナとアウェーで対戦。勝った方が優勝という、1シーズンの命運を懸けた世紀の大一番が実現することになった。

 この極限のゲームで、勝敗を分けるポイントは何か? 数々の重要なゲームを戦ってきた都並敏史氏が、その経験を元に、“サッカーの神様”はどちらを選ぶのかを語る。

どうしようもできない“運”が、最後はサッカーを左右する

チームの攻守のバランスを整えたシメオネ監督。優勝争いへ導いた要因のひとつは、彼の手腕によるものが大きい 【Getty Images】

――リーガ・エスパニョーラもいよいよ最終節です。ここまでのシーズンに対する率直な印象をお願いします。

 終盤良かったレアル・マドリーが、優勝争いから脱落したのは意外でした。バルセロナは最後にもっと熟成してくるだろうと思って見ていましたが、少しもたついた印象です。アトレティコ・マドリーは安定感があったので、最後までトップ3に入ったまま最終節を迎えたのは予想通りかな。

――アトレティコ・マドリーのここまでの躍進を予想した人は少なかったと思うのですが、要因は何でしょうか?

 シメオネ監督の戦術がしっかりチームに浸透していますよね。3年目を迎えた今季は、采配にも深みがありました。相手のストロングポイントを抑えながら、自分たちの良さを出せていたし、非常に安定していたと思います。

――個々の選手の活躍もありましたが、シメオネの存在感も大きかったですね。

 ジエゴ・コスタのゴールや、コケのアシストの多さなど、個人の活躍もあります。ただ、アトレティコが躍進した理由は、間違いなくチームのハードワーク。それは、監督のアプローチとオーガナイズによる賜物です。すべての根底は、守備の改善にある。守備が安定したチームでないと、ライバルチームを追い込んでリーガを勝ち抜くのは難しい。そして、攻撃と守備のバランスが悪くても成り立たない。守備をベースに攻守のバランスを整えたところ。その整え方が、シメオネ監督の最大の功績だと思いますね。

チームの雰囲気から見てアトレティコに分がある

――最終節、バルセロナとアトレティコの勝った方が優勝です。予想をお願いします。

 会場がカンプ・ノウですが、最後に笑うのはアトレティコ・マドリーだと思います。これは戦術的にどちらが完成されているとか、メッシがいるとかではなく、自分が今まで見て感じてきた経験からの予想です。1シーズンを通してチームで団結して戦ってきた、そういうチームに運が舞い降りるのがサッカーです。37節までにも、いろいろなミスや不思議な光景がたくさんありました。そして、最終節に一番のドラマを残すように、神様が準備しているんじゃないかなと思っています。そういう時に神様が味方するのは、アトレティコのように苦しみながら頑張って団結してきたチームだと思うんです。

 バルセロナももちろん素晴らしいチームです。ただ、ピッチ内外に問題を抱えたままスタートして、なんとかヘラルド・マルティーノ監督がまとめてきたものの、ファンとの一体感を見ても一番良い年とは言えない。よくここまで来ましたが『そんなに甘くないんじゃないかな?』というのが、僕がここまで42年サッカーをやってきた人生観です(笑)。

 自分たちにはどうしようもできない“運”みたいなものが、最後はサッカーを左右する。最終節では、37節で硬かったダビド・ビジャが決めたり、ガビやコケなど中心選手が笑顔を見せる。そんな図が見えるんじゃないかと思っています。

――都並さんご自身は、最終節で優勝が決まるという状況は経験がありますか? また、こういうゲームで重要になるものは何でしょう?

 あったと思います。緊張感でミスできないような雰囲気がありました。そういう時、一年間かけて積み上げてきたものがあると違うパワーが生まれて、ポストに当たったボールが内側に来たり、味方の誰かがこぼれ球を決めたりする。その感覚は、優勝するチーム特有のもの。逆に、優勝を逃す方はそれがどこかでズレている。

 チームには必ず、日の当たる人と当たらない人がいます。それが混在する中でそれぞれの不満を聞いて、監督やキャプテンといった人たちがまとめていく。その積み重ねが、1点入れた時に全員集まって喜ぶとか、全体のチームの雰囲気に出る。そういった面でも、今はアトレティコに少し分があるのかなという気がします。

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