サイペイイン完全V 9H決戦で完勝
【Photo:Chung Sung-jun/Getty Images】
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ついに、ついにみつかった。これがエースの輝き。9ホール決戦となった最終日。サイペイインは、勝利を引き寄せたワンプレーがある。11番のパーセーブだ。
上りのストレートとはいうものの、カップまで5メートル。「最終組の2人がバーディースタート。スタートしたばかりとはいっても、流れがいいとはいえない。ここでボギーを叩くと一大事でした」と、振り返った。入念にラインを読んで覚悟が決まった。
アドレスに入ると、いとも簡単にストロークをする。ボールはいい回転でカップへ吸い込まれた。「第3打、グリーン奥からアプローチの感触は悪くはなかった。欲をいえば、もう少しピンに近ければよかったけど…」と、ひと呼吸。続けて、「迷わない。腹をくくるときでした。でも、気楽な気持ちで。心の準備がサッとできた。そこまでちょっと、守りの姿勢が続いていたから、消極的ではなく、ここから大胆に行きました。キープレーだったと思います」と解説する。
流れを呼び込み、続く12番では9メートルのバーディーを決めた。このあたりから、表情がより自信に満ちあふれている。「9ホールでも、18ホールでも勝負は、勝負。とにかく、ベストを尽くせばいい」。ロープの外からは指導を受ける島袋美幸が見守っていた。前日、Obbliカップ、グランドシニアの部で優勝。しかも、前週に続いて2週連続Vと乗りに乗っている大ベテランが見守っている。
「朝、お会いすると、3打のハンディがあるから大丈夫、と声をかけてくださった。また、いつもおっしゃっているのは、気楽にシンプルに。ゆとりをもってプレーすることを丹念にお話くださる。きょうは本当に心強かった。だから、負けるわけにはいかなかったですよ」と、笑顔を浮かべながら…。
【Photo:Chung Sung-jun/Getty Images】
「これだ、と思ったのがきょうも使用した、センターシャフトのマレットタイプ。7月のカストロールレディースではじめて使い、3位。安定してきた」という。一方で、パッティングに関してはこんなエピソードも。全米女子オープンに予選から挑戦し、本戦出場を果たした。「ショットの調子はすごく良かった。パーオン率は高かった。でも、3パットが6回。予選落ちです。2パットでおさめれば、楽々と決勝ラウンドに進出できていた。当たり前ですけど、パッティングがスコアを左右することを改めて心に刻んだ」と語る。
2打差のリードをつけて臨んだ最終18番。PWを選択した、残り101ヤードの第3打を1.5メートルにつけ、バーディーで完全優勝を決めた。12番以降、つけ入るスキを見せない快勝である。
それにしても、本人がアピールしたのは、特別協賛・明治安田生命保険相互会社と相性が抜群-だった。22年、JLPGAツアーの明治安田生命レディスヨコハマタイヤゴルフトーナメントで優勝。「第1日、8アンダーが出て、また明治安田生命さんだ、と思って…。不思議なことに前回同様、きょうも優勝スコアが13アンダーです。ご縁を感じます。本当にありがとうございます」と、感謝のメッセージを添えた。
ステップの今季は残り2戦。ランキング3位に浮上し、「25年JLPGAツアー前半戦の出場権を獲得できる、2位以内を目指す。上位の2人を追いかければいい。目標もシンプルになった」と闘志が宿った。
漆黒のパターヘッド、水色のシャフト、ブルーのグリップ。待望のVをもたらしたパターは雨に映えた。
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