岡崎慎司、マインツで上昇した成長曲線 “エゴイスト”な点取り屋への覚醒
GMも認める岡崎「14ゴール」の価値
ブンデスリーガで今季14ゴールを挙げた岡崎。香川の持つ欧州リーグ1シーズン最多得点記録を更新した 【写真:アフロ】
「シンジのパフォーマンスは、正しく評価されていないと思う」。そう切り出したマインツのクリスティアン・ハイデルGMは、こう続けた。
「ここまでシンジは14点取っているが、ブンデスリーガの得点ランキングでは本当なら1位か2位にいるはずだ。彼はPKを蹴っていないからね。(ドルトムントのFWロベルト・)レバンドフスキの得点からPKを引いたら、得点数でシンジを上回ることはない」
ペナルティーキックを除いたゴールの数だけを比べると、岡崎のゴール数はバイエルンのFWマリオ・マンジュキッチ、ボルシアMGのFWラファエルについで3位タイの成績だ。もちろん、立派な数字だが、それを「1位か2位」と答えるあたりに、ハイデルGMの岡崎への評価の高さがうかがえる。
「それに、シンジはバイエルンやドルトムントでプレーしているわけではなく、マインツでプレーしているんだ。このクラブで14得点するのは当然、難しい。だから彼がやってのけたことは、ものすごいことなのだ!」
「自分が生き残るために取ってきたゴール」
岡崎は声を弾ませて、こう話した。
「代表のゴール数もそうですけど、自分が生き残るために取ってきたゴール。そういうのが記録に残るというのは自分としてはうれしいし、やってきた甲斐があるな。そういう風に思います」
シュツットガルトにいた昨シーズン、岡崎はリーグ戦でわずか1ゴールしか決めていない。飛躍的にゴール数を伸ばすことができたのは、何故なのだろうか。
それは、逆説めいているが、“不本意な”昨シーズンを経験したからだろう。
守備に全力を注ぐ岡崎に目をつけたマインツ
「岡崎は終わったのか?」
そんな声も聞かれた。ブンデスリーガにやってきて、失意のシーズンを過ごしたのちに、ドイツを離れることになった選手ならば、腐るほどいる。
しかし、岡崎はそうならなかった。
シュツットガルトの選手たちがバラバラにプレーしていたからこそ、攻撃的なポジションの選手にいながら、守備にも全力を注ぐ岡崎の姿が目立ったのかもしれない。シュツットガルトでの彼のプレーに注目するクラブがあったのだ。
それが、マインツだった。