三冠から無冠まであり得るR・マドリー “クラシコ” に臨む彼らの現在地とは?
完璧に見えたシーズン中盤
シーズン中盤、理想のバランスを見いだしたかに思われたレアル・マドリー。いまだ3冠獲得の可能性を残しているが、攻守に課題が見つかっている 【Real Madrid via Getty Images】
ジョゼ・モウリーニョ3年目の昨季、レアル・マドリーはハイレベルな守備ブロックにゴール前を固められた際に攻撃が手詰まりになるという、カウンター一辺倒のスタイルが抱える“壁”に直面した。
ゆえに今季就任したカルロ・アンチェロッティは、既に完成の域に達しているカウンターの威力を維持しつつ、相手が引いて守った状態からでもゴールをこじ開けられる遅攻の質、そしてボールポゼッションによるゲームコントロール力を兼ね備えたチームを作り上げるべく、試行錯誤を繰り返してきた。
開幕時のフォーメーションは4−3−3、その後4−4−2や4−2−3−1を経て、ディ・マリアを左のインサイドMFに起用する4−3−3に落ち着いたのは1月12日のリーガ第19節エスパニョール戦以降のことだ。
その後は15試合中10試合を完封勝利で終えるなど課題の守備が安定した上、攻撃面でも1試合平均2.5得点以上をキープ。この時期のチームは攻守に穴がなく、指揮官自ら「これほど素晴らしいチームを率いたのは初めてだ」と自慢していたほどだ。
求められるチームとしての完成度
31戦無敗で迎えたリーガ第29節、ホームで行われたバルセロナとの“エル・クラシコ”では2度もリードしながらまさかの4失点を献上して逆転負け。さらに直後のセビージャ戦でも堅守速攻を決め込んだ相手の戦略にはまり、リーガでは5年ぶりとなる連敗を喫して3位まで順位を落としてしまう。
さらにCLでは、半数以上の主力メンバーを欠くドルトムント相手に第1レグを3−0で制しながら、アウェーの第2レグではミスから失点を重ねるちぐはぐなプレーに終始。結局2試合合計3−2で逃げ切れたものの、試合後に選手たちから聞かれたのは反省の弁ばかりだった。
これらの試合で露呈した問題。それは、これまで相手を上回る個の力でごまかしてきたものの、まだチームとしての完成度は他のトップクラブと比べてそこまで高くはないということだ。