三冠から無冠まであり得るR・マドリー “クラシコ” に臨む彼らの現在地とは?

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国王杯“クラシコ”をいかに戦うか

クラシコはクリスティアーノ・ロナウド(右)の欠場が濃厚。レアル・マドリーはタイトル獲得のチャンスを生かすことができるか 【Bongarts/Getty Images】

 先のクラシコでは、モウリーニョ時代ほどプレスの質が高くなく、守備ブロックもコンパクトさに欠けることが明らかになった。そしてドルトムント戦では、高い位置から圧力をかけてきた相手のプレスに怯えて最終ラインから前にボールを運ぶことができず、スタート時点で3ゴールのリードがあったにもかかわらず、ゲームをコントロールすることができなかった。

 クラシコで露呈した守備の問題については、昨季より攻撃に比重をかけた布陣を採用している影響が大きい。昨シーズンまでのレアルは、カウンター要員として前に残ることが許されたクリスティアーノ・ロナウドを除くフィールドプレーヤー9人に守備のタスクが課せられていた。しかし、現在の4−3−3ではプレスを突破された後も3トップがそのまま前線に残ることが多いからだ。

 それでも並のチームが相手なら、4バックとMF3人だけで十分に守りきることができるのだが、バルセロナレベルの攻撃力を持った相手に対して2人も3人も守備をさぼる選手がいるようでは厳しい。アンチェロッティはクリスティアーノ・ロナウドをケガで欠いた12日のアルメリア戦でディマリアを右MF、イスコを左MF、ベイルをベンゼマと共にほぼ2トップに並べる4−4−2を試していたが、それは前回対戦の反省を生かしつつも、国王杯決勝を見越したテストだった可能性がある。

 ポゼッションの質についてもまだまだ改善が必要だ。ドルトムントとのアウェー戦では常にルックアップした状態でボールを受け、マーカーに体を寄せられても確実にキープできていたのがルカ・モドリッチくらいしかおらず、シャビ・アロンソさえも前を向けるところで無難にバックパスを返すシーンが目立っていた。

 3−0と快勝したホーム戦でも、ポゼッションによるゲームコントロールの意識はあまり見られず、不要な縦パスやサイドチェンジを送ってポゼッションを途切れさせるプレーが目についた。それでも大半の時間帯でゲームを支配することができたのはプレースピードとインテンシティ(プレー強度)で相手を圧倒できていたからで、その部分で後手に回った第2レグでは全く逆の立場に立たされている。

三冠から無冠まで

 シーズンの鍵を握る試合で攻守に未完成な部分を露呈しながら、ドルトムントからは命からがら生還を果たし、一時は可能性がなくなったと思われていたリーガでも再び2位に浮上。わずか3日間のうちにCLで敗退し、リーガの逆転優勝も絶望的となったバルセロナとは対照的に、レアル・マドリーにはミスが致命傷とならない強運があった。

 とはいえ、休む暇なく迎える国王杯決勝は一発勝負のため何が起こるか分からず、クリスティアーノ・ロナウドの欠場もほぼ確定している。翌週のCL準決勝・バイエルン戦は再び苦手とするドイツ勢、しかも第2レグをアウェーで戦う厳しい抽選結果となった。そしてリーガの逆転優勝は、残る5試合で自分たちが全勝した上、アトレティコが勝ち点4以上を失わなければ実現しない。

 3タイトルすべてにあと一歩と迫りながら、1つとして簡単そうなものはない。悲願の“ラ・デシマ”(10度目のCL制覇)を含めた史上初の三冠獲得から、2季連続となる主要タイトル無冠まで。はたして数週間後、レアル・マドリーの今季はどんな結末を迎えているのだろうか。

文/工藤拓、提供/WOWOW

WOWOW番組情報

1902年から続く歴史あるカップ戦。今シーズンは決勝でクラシコが実現。2011年の決勝クラシコはR・マドリードが勝利。因縁の対決を制してタイトルを手にするのは?

★スペイン国王杯 コパ・デル・レイ 13−14シーズン 決勝
伝統の一戦 クラシコ「バルセロナvsレアル・マドリード」
4月17日(木)午前4:15〜[WOWOWライブ]※生中継

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