経験値の差で王座奪回したパナソニック=男子バレー
試合巧者パナソニックが2年ぶりのV
2年ぶりとなる王座奪回に成功したパナソニック。決勝では固さの見えるJTに対し、試合巧者ぶりが発揮された 【坂本清】
パナソニックはウイングスパイカーのダンチがセンターから速いバックアタック、清水邦広、福澤達哉らサイドアタッカーの攻撃で着実に得点を重ね、追いすがるJTを引き離した。
「セッターの差が出た試合だったと思う。大事なところでうまくボールを(アタッカーまで)つなげなかった」とJTの司令塔・井上俊輔がうなだれれば、アタッカーの八子大輔は「自分の責任。最終セット、決めれば勢いに乗れる場面で自分がミスをしてしまった」と唇をかんだ。JTにとっては実に10シーズンぶりとなる優勝決定戦の舞台。今シーズンからJTに移籍し、2008年の北京五輪を筆頭に過去数々の国際試合に出場している越川優ですら「今までに経験したことがないくらい緊張した」と振り返る。
終始、固さの見えたJTに対し、3年連続で優勝決定戦に臨んだ試合巧者、パナソニックの経験値が勝った試合だった。
サーブ効果率で上回るも、ミスが出たJT
チームを引っ張ってきたJTの越川(奥)だが、サーブ効果率を上げたものの、ほかのところでパナソニックに及ばなかった 【坂本清】
「今シーズンのJTの特徴はリーグナンバーワンのサーブ力です。試合前から『サーブポイントを取られるような展開ではうちに勝ち目はない』と選手には話していました。今後の全日本男子にも言えることですが、強いサーブに対していかにポイントを取られず、ボールを真上に上げることで攻撃につなげるか。そうやって上げたあとの攻撃も、一度で決めようと無理をするのではなく、何度もリバウンドを取って攻め直すことができるか。そこが勝敗を分けました」
サーブ力のあるイゴールと越川をサーブローテーションで1番目と2番目に配置するJTに対し、パナソニックは、本来はサーブレシーブをしないポジションであるオポジットの清水もフォーメーションに入れ、4人で守る体制をとった。それでも決勝戦のサーブ効果率はJTが圧倒的にパナソニックを上回っていた。(パナソニックの8.3に対し、JTは12.2)
イゴールは言う。
「今日もサーブでは一定の結果は出したと思います。でも、それだけでは勝てないということも分かりました。気持ちばかりが先走って、頭を使ってプレーすることを忘れてしまったのが敗因。そこが相手との経験の差です」
トスが単調になったところでイゴール、八子らにミスが出て最終セットは5点差をつけられての敗戦となった。