混戦必至の男子バレーリーグが開幕へ=山本隆弘が語るVリーグ13−14展望

構成:田中夕子

Vプレミアリーグ男子は7日開幕。今年5月に引退した元日本代表の山本隆弘さんが展望を語ってくれた。 【スポーツナビ】

 バレーボールのV・プレミアリーグ男子が7日に福島・郡山総合体育館、広島・廿日市市スポーツセンター(サンチェリー)で開幕する。
 8チームによる総当り4回戦で実施されるレギュラーラウンドから、上位4チームでのファイナルラウンドが行われる4月(決勝は4月12日、もしくは13日)まで、全国各地で熱戦が繰り広げられる。

 今回スポーツナビでは、昨シーズンまでパナソニックパンサーズで活躍していた元日本代表の山本隆弘さんに2013−14シーズンについての展望や各チームの状況、注目選手などについて語ってもらった。

堺の新人・出耒田選手の成長に期待

連覇を目指す堺は今季も優勝候補の筆頭。石島(左)をはじめメンバーが替わらず、安定した力を発揮できそうだ 【写真は共同】

 今シーズンは混戦ですね。どこが抜け出すか分からない。20勝ぐらいが優勝ラインになるかもしれません。

 どのチームも勝てるチャンスがある代わりに、弱さもある。そんな混戦リーグではありますが、頭ひとつ抜けているかな、と感じるのが昨年優勝の堺ブレイザーズとパナソニックです。

 堺はメンバーがほとんど替わっていませんから、安定した力を発揮するでしょう。個々の役割をまっとうできるチームなので、全日本ではオポジット(スーパーエース)に入っていた石島雄介選手も、堺では攻撃だけでなく、つなぎ役に徹しています。ミドルの横田一義選手、松本慶彦選手も同じ。自分が決めるところは決めに行くけれど、ここは大黒柱のペピチ・ミラン選手に託す、と割り切れる強さがあります。

 さらに今季、インカレ、天皇杯を終えれば筑波大の出耒田敬選手が合流します。ワールドリーグではミドルブロッカーに入った出耒田選手ですが『オポジットをやりたい』と、自ら望んで堺を選びました。ペピチ選手がいるのでいきなりレギュラーで出るのは難しいかもしれませんが、出耒田選手が入ることによってペピチ選手が休める環境を作れるのは大きい。間違いなくこれから日の丸を背負っていかなければいけない立場の人間ですので、早く高いレベルでバレーをして、自分の自信になる部分、課題になる部分を見つけて、克服して、さらに伸ばしてほしいと、個人的にも期待しています。

パナソニックの新外国人・ダンチ選手は注目

 パナソニックには元ブラジル代表のダンチ選手が入りました。彼は3度の五輪出場など、あらゆる場を経験して、結果を残してきた選手です。どんなに苦しい状況でも、強打だけでなく、常に相手コートを見ながら得点が取れる選手なので、彼がどんな視野で、どんな打ち方をしているのかを見るだけでも日本人選手にとって勉強になるはずです。

 セッターにも注目です。深津英臣選手は若さと勝負度胸がありますし、大竹貴久選手はまた違うスタイルでチームを引っ張ることができる。2人で切磋琢磨(せっさたくま)しながらやっていくとは思いますが、メーンは深津選手でしょうね。ボールコントロールセンスがあり、試合中に気合い負けをしない。ブロックのタイミングも非常にいいので、相手スパイカーからすればとても嫌な選手だと思います。

 そしてエースの福澤達哉、清水邦広選手はグラチャン(ワールドグランドチャンピオンズカップ)で本当に悔しい思いをしたので、同じ悔しさを二度と味わわないように、特に唯一の個人技であるサーブに関しては、練習で課題を克服して、試合で結果を出すことが重要です。

 彼らはチームだけでなく、日本のエースと言われる存在です。今は苦しい時期かもしれませんが、乗り越えてほしいですね。

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著者プロフィール

1976年神奈川県生まれ。日本大学短期大学部生活文化学科卒業。なぜか栄養士免許を有する。神奈川新聞社でのアルバイトを経て、月刊トレーニングジャーナル編集部に勤務。2004年からフリーとしての活動を開始。高校時代に部活に所属したバレーボールを主に、レスリング、バスケットボール、高校野球なども取材。

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