デイナ社長を動かした“ブロンドの女・三四郎”登場=UFC展望

WOWOW

デイナ・ホワイト社長を驚かせた“秒殺女王”ロンダ・ラウジー 【(C)Photo Courtesy of UFC】

 米国カリフォルニア州アナハイムのホンダ・センターで現地時間2月23日(日本時間2月24日・日曜正午よりWOWOWで生中継)に開催される「UFC157」のメーンでは、UFC初の女子マッチが行なわれる。北京五輪の柔道銅メダリストで、総合ではキング・オブ・ザ・ケージやストライクフォースで活躍し、6戦全勝、全試合で1R一本勝ちという驚異的な戦績を誇るバンタム級王者ロンダ・ラウジーが、リズ・カムーシェを相手に防衛戦を行なう。
 また、セミでは元PRIDE二階級王者で“皇帝”ヒョードルにもTKO勝ちしたダン・ヘンダーソンが、元UFCライトヘビー級王者リョートと激突。どちらも非常に注目のカードだ。

TUFで男たちを投げまくった“秒殺女王”

 ロンダ・ラウジーは1984年の柔道世界選手権金メダリスト――アメリカ人として初の柔道世界選手権金メダル――アン・マリア・ラウジー・デマルスを母に持つ、柔道のサラブレッド。2004年のアテネ五輪に17歳の若さで出場、この時は初戦で敗れたものの、同年の世界ジュニア柔道選手権では優勝している。
 そして07年に世界柔道選手で銀メダル、さらに08年の北京五輪の柔道70kg級に出場して銅メダルを獲得、アメリカの女子柔道家初の五輪メダル獲得者となった。

 UFCファイターのカロ・パリーシャンらを育てたアルメニア人柔道家、ゴコー・シビチヤンが主催するハヤスタン・アカデミーで修業し、2010年にキング・オブ・ザ・ケージでプロデビュー。このデビュー戦では、エディエンヌ・ゴメスをわずか25秒で腕十字に切って落とし、以降6戦全勝、全試合腕十字で一本勝ち、1試合を除きすべて1分以内で勝利という、まさに“秒殺の女王”ぶりを発揮しているのだ。
 1分以上かかった唯一の試合は、昨年3月にミーシャ・テイトの持つストライクフォース女子バンタム級王座に挑戦した試合だが、この時も4分27秒で一本勝ちし、米の複数の格闘技サイトによって年間ベスト・サブミッション賞に選ばれている。
 リアリティ・ショーであるUFC登竜門TUF(タフ)のシーズン15にもゲスト出演し、UFC出場を目指して合宿特訓している屈強な男子選手らを次々に投げ飛ばしてデイナ・ホワイトUFC社長を驚嘆させた。その姿はまさに“ブロンドの女・三四郎”と呼ぶべき華麗さだった。

 12年3月にストライクフォース王座を獲得後、8月に行なわれた初防衛戦ではサラ・カウフマンを54秒で秒殺して防衛に成功、ストライクフォースを吸収したUFCの初代女子バンタム級王者となったのである。
 デイナ社長は、以前は女子の試合にほとんど興味を持っていなかったが、ロンダの出現によりUFCでも女子の試合を組むことを決定、しかもその最初の試合を今大会のメインに大抜擢した。それほどロンダが強く、かつ魅力に富んだ選手であるということだ。

挑戦者カムーシェは沖縄育ちの元海兵隊員

沖縄で育った元海兵隊員のリス・カムーシェ 【(C)Photo Courtesy of UFC】

 今回ロンダに挑戦するリズ・カムーシェはルイジアナ州生まれだが、沖縄で育ち、米海兵隊に入隊、中東などで5年の任務を経てプロ格闘家になった経歴を持つ。2010年にプロデビューし、5連勝して11年3月にマルース・クーネンが保持していたストライクフォース女子バンタム級王座に挑むが、4Rに三角締めで一本負けして戴冠ならず。続くサラ・カウフマン戦でも判定で敗れたが、その後はTKOとサブミッションで2連勝している。
 8勝(5KO、2サブミッション)2敗と、判定勝利は1つしかない、こちらも“完全決着女”である。

 人気ではラウジーが圧倒的だが、リズもUFC初の女子試合で勝利してベルトを奪取しようと燃えに燃え、ロンダの必殺技である十字対策のために猛特訓を積んでいる。
 はたしてUFC初の女子マッチは、秒殺決着なるか?

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