2大会ぶりの金メダルを狙う体操ニッポン、注目ポイントは!?=男子団体・展望

日本体操協会:遠藤幸一

エースの内村(一番右)と、厳しい予選を勝ち抜いてきた4名が2大会ぶりの金メダルを目指す 【坂本清】

 4年に一度の五輪後にルールが見直されることや、五輪前年の世界選手権が五輪出場の予選になっていることで分かるように、世界中の体操関係者にとって五輪は、現行ルールで最も成長した姿を見せる最高の舞台である。今、代表に選ばれた選手たちは、不安と緊張、期待と自信をかみしめながら、その時を迎えようとしている。とりわけ私たち日本人にとって、まだ続く東日本大震災復興へ向けての活力を与えるため、選手たちの活躍は使命。男子体操は、これまでの活躍の歴史や世界選手権個人総合3連覇を果たした内村航平(KONAMI)という絶対的なエースを擁していることから、その期待はいつになく大きい。日本の選手たちはどのように戦おうとしているのか。勝負ごとに100%はないが、今回の日本男子チームにおける五輪・ロンドン大会の展望をお話ししたい。

「組み合わせ点」でDスコアが伸びるゆかと鉄棒がカギ

 まず、男子の日本代表選手選考方法において、「ゆか」と「鉄棒」の2種目を特化種目と設定した。これは強化本部における詳細な情報分析により導いた結果なのでその説明は避けるが、世界的な流れから見ても団体、個人総合を戦う上でとても重要なカギだったと考えている。その理由は、この2種目で今もなお多くの選手がDスコア(演技価値点)を向上させている現状があるからである。

 以下は、2009、2010、2011年の世界選手権における各種目の全演技数に対するDスコア6.0以上を達成した演技数の割合を示したものである。

<2009年>
ゆか:27.8%、あん馬:18.9%、つり輪:31.7%
跳馬:70.0%、平行棒:25.2%、鉄棒 :24.8%

<2010年>
ゆか:18.9%、あん馬:13.1%、つり輪:23.1%
跳馬:67.2%、平行棒:18.7%、鉄棒 :21.2%

<2011年>
ゆか:29.5%、あん馬:14.5%、つり輪:21.1%
跳馬:72.4%、平行棒:27.7%、鉄棒 :32.2%

 見て分かるように、Dスコアの設定の高い跳馬を除き、2011年の大会において30%前後の選手がDスコア6.0以上を達成しているのが「ゆか」と「鉄棒」。その割合について前年と比較すると、それぞれ10%以上伸びているのもこの2種目だ。さらに、2010年から2011年にかけて団体決勝に出場した中国チームの3選手のDスコア合計は、ゆかが18.2から19.6に、鉄棒では20.2から21.9へと大幅に向上させた。日本にとって、Dスコアでこれ以上離されるわけにいかないため、伸びしろのあるゆかと鉄棒における対策は重要と言える。ではなぜ、この2種目がいまだにDスコアを伸ばしているのかというと、他の種目にはない、組み合わせ点によるDスコアを上積みできる特徴を持っていることにほかならない。

Dスコアの新記録7.9の演技とは!?

内村とゾンダーランドの連続技の比較。ゾンダーランドは単独でも難しい手放し技を3連続で実施する 【遠藤幸一】

 組み合わせ点は、難しい技を連続することによって加えられるルールだが、それはゆかと鉄棒の2種目にのみ適用される。そんな中、鉄棒では、今年に入って新たな組み合わせが次々と発表されている。
 先月行われたFIGチャレンジャーカップで、ユプケ・ゾンダーランド(オランダ)がDスコア7.9の新記録を樹立して優勝。その決め手となったのが、「カッシーナ(G難度)〜コバチ(D難度)〜コールマン(F難度)」という手放し技の3技連続だ。内村も「アドラーひねり(D難度)〜リューキン(F難度)」という世界的に類を見ない難しい組み合わせを種目別優勝の武器に準備するなど、鉄棒が今、成長を続けるもっとも注目の種目。どの国にとっても鉄棒の成否は勝敗の鍵を握っているといって過言ではない。

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著者プロフィール

1961年東京生まれ。日本体操協会常務理事・総務委員長。体操の金メダリストである父親を持つものの、小学、中学はサッカーに明け暮れていた。高校で体操に転身。国際ルールのイラストレーターとして世界中の体操関係者にその名を知られている。

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