2大会ぶりの金メダルを狙う体操ニッポン、注目ポイントは!?=男子団体・展望
エースの内村(一番右)と、厳しい予選を勝ち抜いてきた4名が2大会ぶりの金メダルを目指す 【坂本清】
「組み合わせ点」でDスコアが伸びるゆかと鉄棒がカギ
以下は、2009、2010、2011年の世界選手権における各種目の全演技数に対するDスコア6.0以上を達成した演技数の割合を示したものである。
<2009年>
ゆか:27.8%、あん馬:18.9%、つり輪:31.7%
跳馬:70.0%、平行棒:25.2%、鉄棒 :24.8%
<2010年>
ゆか:18.9%、あん馬:13.1%、つり輪:23.1%
跳馬:67.2%、平行棒:18.7%、鉄棒 :21.2%
<2011年>
ゆか:29.5%、あん馬:14.5%、つり輪:21.1%
跳馬:72.4%、平行棒:27.7%、鉄棒 :32.2%
見て分かるように、Dスコアの設定の高い跳馬を除き、2011年の大会において30%前後の選手がDスコア6.0以上を達成しているのが「ゆか」と「鉄棒」。その割合について前年と比較すると、それぞれ10%以上伸びているのもこの2種目だ。さらに、2010年から2011年にかけて団体決勝に出場した中国チームの3選手のDスコア合計は、ゆかが18.2から19.6に、鉄棒では20.2から21.9へと大幅に向上させた。日本にとって、Dスコアでこれ以上離されるわけにいかないため、伸びしろのあるゆかと鉄棒における対策は重要と言える。ではなぜ、この2種目がいまだにDスコアを伸ばしているのかというと、他の種目にはない、組み合わせ点によるDスコアを上積みできる特徴を持っていることにほかならない。
Dスコアの新記録7.9の演技とは!?
内村とゾンダーランドの連続技の比較。ゾンダーランドは単独でも難しい手放し技を3連続で実施する 【遠藤幸一】
先月行われたFIGチャレンジャーカップで、ユプケ・ゾンダーランド(オランダ)がDスコア7.9の新記録を樹立して優勝。その決め手となったのが、「カッシーナ(G難度)〜コバチ(D難度)〜コールマン(F難度)」という手放し技の3技連続だ。内村も「アドラーひねり(D難度)〜リューキン(F難度)」という世界的に類を見ない難しい組み合わせを種目別優勝の武器に準備するなど、鉄棒が今、成長を続けるもっとも注目の種目。どの国にとっても鉄棒の成否は勝敗の鍵を握っているといって過言ではない。