内田博が魅せた好判断、ゴールドシップ鮮やか一冠=皐月賞
牡馬三冠クラシック第一冠・皐月賞は内田博の好騎乗に導かれ、ゴールドシップが鮮やかに奪取 【写真:中原義史】
同馬はこれでJRA通算6戦4勝。重賞は今年2月のGIII共同通信杯に続き2勝目。内田博は菊花賞(08年オウケンブルースリ)、日本ダービー(10年エイシンフラッシュ)に続き牡馬クラシック三冠を全制覇し、開業4年目の須貝尚介調教師は騎手時代を通じてこれがうれしいGI初勝利となった。
一方、福永祐一騎乗の2番人気ワールドエース(牡3=栗東・池江厩舎)は外から猛然と追い込むも2馬身半届かず2着。さらに3/4馬身差の3着には岩田康誠騎乗の3番人気ディープブリランテ(牡3=栗東・矢作厩舎)が入り、1番人気に支持されていたミルコ・デムーロ騎乗のグランデッツァ(牡3=栗東・平田厩舎)は5着に敗れた。
大胆イン突き「スノーフェアリー、あれだ!と思って」
各馬が外へ進路を取る中インへと“舵”を切った内田博とゴールドシップ、この判断が勝負を分けた 【写真:中原義史】
「とにかく隊列が長かったですからね。それにみんな外に出していたし、これ以上外に出したら不利になるだろうと思って、3コーナー手前で内を走らせてみたら伸びが良かったんです。これなら外に出す必要もないかなと」
明暗を分けた3〜4コーナーの攻防、内田博がこう振り返った。2カ月続いた開催の最終日に加えて、前日の大雨の影響もあり馬場のインは傷んだ状態。何も皐月賞に限らず、この日行われた芝レースでは、各馬こぞって馬場の真ん中よりさらに外に進路を取っていた。
当然、この皐月賞でもいかに馬場コンディションのいいコースを取るかが、勝負の分かれ目かと思われた。だが、内田博はそれを逆手に取ったのだ。ジョッキーの脳裏には、思い切ってインに“舵”を切ったとき、ある1頭の馬が浮かんだという。
「エリザベス女王杯を勝ったスノーフェアリー、あれだ!と思って(笑)。そのつもりで乗りました」
ライアン・ムーアとのコンビで2010年と11年のエリザベス女王杯を連覇し、英&愛オークス、香港カップも制したイギリスの名牝。特に初来日だった10年エリザベス女王杯で見せた、最内を一気に突き抜けての4馬身差圧勝パフォーマンスがあまりにも鮮烈だった。そのスノーフェアリーに重ね合わせた騎乗。それを瞬時に実行に移せるのだから、やはり内田博幸という騎手はただ者ではない。
だが、内田博は今回の勝利を自分の手柄とするのではなく、馬の能力があったから、と強調する。
「こんなにハマるなんてね。でも、馬場が馬に合っていたし、馬の力があったからこそ、こういうことが出来たんだと思います。ゴールドシップはこれまでも常に強いレースをしていたし、負けても一番タフなレースをしていた。この馬の能力が皐月賞という大舞台で証明できてうれしいです」