「不退転の決意」で臨むイチロー=キーワードは「変化」
イチロー、始動
キャンプ初日、記者の質問に「不退転の決意でいきたい」と話したイチロー。今季にかける強い決意が感じられる 【写真:ロイター/アフロ】
前日まではやや肌寒かったものの、きれいに晴れ上がった全体練習初日は朝から比較的気温が高く、昼前には汗ばむ陽気となった。
午前9時から約1時間の全体ミーティング。熱血タイプのエリック・ウェッジ監督が、この日も去年のキャンプインと同じように熱く、熱く、選手らに語りかけたよう。
イチローに言わせれば、「一緒にやった選手たちはみんなよく知ってるので、どういう人たちに向けて発しているのかっていうのが僕らには見える」ということなので、去年からいる選手らは冷静だったようだが、おそらく対象となった人たちは、背筋が伸びたかもしれない。
その後、選手らがクラブハウスを出て、少し離れた練習場へ。このとき、イチローと招待選手としてマリナーズのキャンプに参加している川崎宗則だけが、そろって裏のドアから出てきた。川崎にしてみればそれは、まるでバージンロードではなかったか。
全員がグラウンドに集合すると、久々に合わせる顔と抱擁したりする姿がなんとも和やかに映った。あと、劇的に変わったのは、空気。それまでバッテリーに混じってジャスティン・スモーク、ダスティン・アックリーら主力級の野手も朝のストレッチには参加していたが、イチローが入るだけで引き締まる感じがあった。今のチームでそういうカリスマ性があるのは、やはりイチローだけである。
ステップで足が上がらない!?
打撃練習ではノンステップでの打撃フォームに挑んだ 【写真:ロイター/アフロ】
実は、そのときに分かったのがステップの違いで、それまで比較的高く右足を上げてタイミングをとってきたイチローが、その日はスタンスを広めにとり、小さくステップしながら球を捕らえていた。
それは調整の一環かと思われたものの、キャンプ初日の打撃練習でも、ほぼ足が上がらない。一つの形として目指していることが明らかになった。
イチロー本人はその効果について、「ここでお伝えすることではない」と言葉を濁すも、変化を否定しない。
「スイングの仕方なんて変えられない。考え方としては、ある動きを省いている、ということですね」
“省いているもの”は、見た目にも明らか。だが、それがものになるどうかは「分からない」と慎重でもある。
「ゲームでは、練習の形とはどうしても変わる。走る行為がどうしても入るので」
さて、足の上げ下げで、一般的にはどんな変化が生まれるのか。
キャンプ2日目の練習後、まずはそう少し遠回しにクリス・チャンブリス打撃コーチに尋ねたつもりだが、彼はすぐにこちらの意図を察したようだった。
「イチローのことだろ?」
否定する必要もないのでうなずけば、1970年1月のドラフトで全米の1位指名を受けた経験を持つチャンブリスコーチは「すでに本人に確認をした」と話した。
で、イチローはなんと?
「『頭を動かさないように』ということだった」
ここからは、打撃コーチの解説。
「右足を上げて踏み込めば、それだけ頭がぶれる。若干、目線も変わる。それを避けたいということのようだ」
もちろん変化は「良い打者のコーチは、本人自身」というスタンスのチャンブリス打撃コーチがアドバイスしたものではなく、イチロー独自の考えだが、2日見た限りでは「強い打球が飛んでいる。左右への打ち分けもよりスムーズだ」とコーチは目を細めていた。
「変化」に見られる強い決意
「何かをやろうとするときは、不退転の決意でいきたい、と思いますね。これどうでしょう? 今日のキーワード。どうですか? 使えそうじゃないですか」
イチローは今年への思いを聞かれてそんなふうにちゃかしたが、裏を返せばそれは、強い決意の表れともとれた。
<了>
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