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クラブライセンス制度とは何か?
2013年導入を目指すJリーグの不退転

クラブライセンス制度導入をめぐる動き

G大阪の西野監督をはじめ、長期政権を築いていた指揮官の交代が相次いだのも、クラブライセンス導入を見越した動きである可能性が高い
G大阪の西野監督をはじめ、長期政権を築いていた指揮官の交代が相次いだのも、クラブライセンス導入を見越した動きである可能性が高い【写真は共同】

 Jリーグ開幕から20周年にあたる来年2013年、いよいよクラブライセンス制度の導入が始まる。これに先立って1月17日、JFA(日本サッカー協会)ハウスにてメディア向けのクラブライセンス制度の説明会が行われた。このところ、何かと話題になっているクラブライセンス制度だが「クラブに対する審査が厳しくなる」という漠然としたイメージしかわかない人が多いのではないか。とはいえ、クラブライセンス制度導入を視野に入れた各クラブの動きは、すでにあちこちで始まっている。


 たとえば今オフは、ガンバ大阪の西野朗監督をはじめ、オズワルド・オリヴェイラ(鹿島アントラーズ)、レヴィー・クルピ(セレッソ大阪)、ミハイロ・ペトロヴィッチ(サンフレッチェ広島)といった長期政権を築いてきた名監督が相次いで退任している。一方で、G大阪や京都サンガF.C.、そしてギラヴァンツ北九州など、新スタジアムの建設に関するニュースがあちこちから聞こえてくるようになった。それぞれクラブの事情は異なるが、監督人事は人件費の圧縮による経営の健全化、新スタジアムは新たな施設基準への対応ということで、いずれもクラブライセンス制度導入を見越した動きであると見てよいだろう。


 そうして考えると、この制度の導入がJ1・J2に所属する40クラブ、さらには将来的なJリーグ参入を目指しているJFL以下のクラブにとり、非常に重要な意味を持つことは明らかだ。では、クラブライセンス制度導入によって、何がどう変わるのか。そもそもクラブライセンス制度とはどのようなもので、なぜ導入が求められているのか。


 説明会で配布された「Jリーグ クラブライセンス交付規則」は40ページ。「Jリーグ クラブライセンス制度の全体像」と題された図式の資料は76ページもあった。これらすべてを網羅しながら説明するのは、やはり実際的ではないだろう。本稿では、クラブライセンス導入の背景、そしてその概要について整理してお伝えすることを第一に心掛けることにしたい。

クラブライセンス制度のルーツはドイツ

 まずはクラブライセンス制度導入の背景について説明しよう。この制度の発祥はドイツで、そこからUEFA(欧州サッカー連盟)、さらにはFIFA(国際サッカー連盟)へと広がっていった。クラブ経営の透明性を確保し、健全化を促すことは、巡り巡ってリーグの価値向上につながる。UEFAは2004−05シーズンより、この制度を導入してチャンピオンズリーグ(CL)の出場資格を定めることで、さらなる大会のブランド力向上に成功。これを評価したFIFAも、08年1月よりクラブライセンス制度導入を実施し、これを受けてAFC(アジアサッカー連盟)も、13年のACL(AFCチャンピオンズリーグ)参加資格から導入することを決定。これを日本をはじめとする各国協会に通達した。


 グローバル化するサッカー界において「ワールドスタンダードに合わせる」という意味では、先の移籍ルールの改定を想起させる。今回はAFCからの通達ということもあり、日本としてはアジアのトップとして模範を示すという意図もあったのだろう。Jリーグは「AFCクラブライセンス交付規則よりやや厳しめのレベルで日本版のクラブライセンスを作る」(資料より。以下、同)という判断を下した。そして日本で定めるルールは「J1・J2・準加盟に関係なく、一部を除いて全クラブ共通」とすることとなった。


 先の移籍ルールの改定は、いささか「黒船」的なニュアンスが感じられたが、今回のクラブライセンス制度に関しては、少なくともJリーグ側はかねてよりその必要性を感じていたようだ。ここ数年、JリーグもJクラブも、ビジネス面での停滞感がまん延しており、昨年の震災が平均入場者数の減少に追い打ちをかけた。また、Jリーグのメディア価値の低下や、Jクラブ間の階層の固定化(特にJ2では豊かなクラブとそうでないクラブとの二極化は深刻だ)など、憂慮すべき案件が山積している。Jリーグとしては、クラブライセンス制度を導入することで、クラブの「ハード・ソフトの整備」を促し、さらには「投資対象としてのクラブの魅力向上」を期待したい。そして各Jクラブが、より魅力的なものになっていけば、Jリーグのブランド力もまた向上する――。


 以上が、説明会と資料を元に再構成した、クラブライセンス制度導入の背景である。

宇都宮徹壱
宇都宮徹壱
1966年生まれ。東京出身。東京藝術大学大学院美術研究科修了後、TV制作会社勤務を経て、97年にベオグラードで「写真家宣言」。以後、国内外で「文化としてのフットボール」をカメラで切り取る活動を展開中。旅先でのフットボールと酒をこよなく愛する。著書に『ディナモ・フットボール』(みすず書房)、『股旅フットボール』(東邦出版)など。『フットボールの犬 欧羅巴1999−2009』(同)は第20回ミズノスポーツライター賞最優秀賞を受賞。近著はスポーツナビでの連載をまとめた『J2&J3 フットボール漫遊記』(東邦出版)

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