五輪3連覇・野村忠宏が語るロンドンへの道=柔道GS直前、独占インタビュー

長谷川亮

五輪で金メダルを獲るためには何が必要か?

五輪で金メダルを獲るには何が必要か(写真はアテネ五輪) 【写真は共同】

――逆にオリンピックを3度制した野村さんから見て、金メダルを獲るためには何が必要になってくるのでしょうか。

野村「なんでしょうね……。みんなやってることは一緒なんですよね。練習もやってるし厳しさも持ってると思うし、オリンピックに対する気持ちもそうですし。だからそれはほんとちょっとしたことだと思います。大きく変える必要はないし、それが何かというのを自分で知ることのできる男にならないといけないですよね。試合を通してオリンピックまでの中で補う取り組みをしないといけない。
自分も勝ったり負けたりの時はありましたが、常にオリンピックを意識していたし、特にオリンピック代表になってから、代表になった瞬間からオリンピックで戦うっていうのはどういうことなのかというのは常に自分に言い聞かせていました。あの大舞台で負けることも勝つことも」

――勝つことだけでなく負けることも言い聞かせていたのですか?

野村「もちろんです。自分の場合はオリンピックで負けることはありませんでしたが、優勝候補と言われる選手が横で負けていく姿も見たし、負けた選手がどういう思いをしているのか、どういう評価を受けるのか、何を言われるのか。力を出せなかった選手はどういう後悔をしているのか、勝った選手も負けた選手も全部見てきてるから、オリンピックで戦うこと、勝つこと・負けるということがどういうことなのかを常に考えながら生活していました」

――そうした意識の差が取り組みの差を生み、引いては勝敗も分けるのかもしれません。

野村「オリンピックは各階級で(代表が)1人なんです。日本中の応援や期待、日本柔道の誇りを背負っての勝負です。そういうことも含めてオリンピックっていうのはどういう舞台なのかということを考えて生活してました。だからと言って全てを制約することはないけど、休むのも息抜きする時間も、全てオリンピックで勝つためにっていう意識がありました。そういう意識を持つということ、それと『何とかなるやろ』っていう甘い考えは絶対に持たないこと。そうやってオリンピックまでの日々を過ごしていました」

日本人選手の強みというのは今も昔もやっぱり“技”

野村はサバイバルレースを繰り広げる後輩たちへ厳しくも温かいエールを送る 【t.SAKUMA】

――オリンピックというのは日常生活から高く厳しい意識を持って臨まねば勝てない舞台であるのですね。それでは最後に、そのオリンピックへの最終選考がスタートする「グランドスラム東京」へ出場する選手たちへのエールと、ゲスト解説としての意気込みをお聞かせください。

野村「日本人選手の強みというのは今も昔もやっぱり技で、そこは変わらないと思います。なので技というのはやはり大事にしてほしいしです。あと、柔道を好きな人・応援してくれてる人というのは勝敗はもちろん、日本の柔道の技というものを期待する部分が大きいと思うので、それで勝つというのが今後に向けての自信とアピールになるんじゃないかと思います。自分は選考レースを外れてロンドンの道が断たれた悔しさもありますけど、ロンドンを目指す選手たちの戦いを、良いところはいい、ダメなところはダメ、自らの経験を含め、厳しい競技者目線で伝えていきたいです」
■柔道グランドスラム東京2011

【開催日 階級】

・12月9日(金)
 男子:60kg級・66kg級/女子:48kg級・52kg級

・12月10日(土)
 男子:73kg級・81kg級・90kg級/女子57kg級・63kg級

・12月11日(日)
 男子:100kg級・100kg超級/女子70kg級・78kg級・78kg超級

【開催場所】

・東京体育館
 (東京都渋谷区千駄ヶ谷1−17−1)

【放送日時】

・テレビ東京
 12月9日(金)午後1:25〜2:55/夜7:00〜8:50

 12月10日(土)午後1:00〜2:23/夕方6:30〜夜8:54

 12月11日(日)夕方4:00〜5:15/夜7:54〜10:18

・BSジャパン
 12月11日(日)深夜2:10〜4:39

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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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