水抜きダイエットって痩せる?飲み過ぎると「水中毒」になるってホント?

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 スポーツジムに行くと、2リットルのペットボトルに入ったミネラルウォーターを持ち歩きながらトレーニングしている人を見かけます。なぜ筋トレ民はトレーニング時に大量の水を飲むのでしょうか。それは、筋肉の65%は水分だと言われており、筋肉を大きくするためには、その分だけ水分量も多く摂取する必要があるのです。

 「人間のカラダの約60〜70%は水分でできている」というのは、多くの方が聞いたことのあることでしょう。食事をまったく摂らなくても1週間以上は生きていられる一方で、水を一滴も取らなければ3〜5日で命を落としてしまうということからも、水の重要性が分かります。

 今回は、水分不足によって起きるデメリットや、飲み過ぎによる「水中毒」のウワサなど、トレーニングと「水」の関係性について解説します。

水は、栄養を効率よく吸収するために必要な存在

 体内の水が不足すると、血液の粘性が高まり、いわゆるドロドロの状態に近づきます。そうすると、せっかく食事やサプリメントで摂取した栄養素もうまく全身に回らず、効率よく使われなくなってしまうのです。

水分摂取で腎臓の負担を減らす
 また、プロテインなどをはじめ、日常的に摂取する高タンパクな食事にも十分な水が必要です。なぜなら、高タンパクな食事をすることで生み出される、老廃物を排出する働きを持つ「腎臓」に負担をかけてしまうからです。

 この腎臓の負担を減らすためにも、水をしっかり摂取する必要があります。血液が粘性の高い状態で、かつ高タンパク食によって生み出される多くの老廃物を排出する状態が長期間続けば、腎臓へのダメージは徐々に蓄積され、機能の低下をもたらしてしまう可能性があるでしょう。

 カラダ作りの効果を高めて、腎臓の働きを助ける。この2つの点から、カラダ作りをしっかり行っている人はペットボトルを持参し、トレーニング中に飲むなどの対策をしているのです。

水の摂り過ぎや制限しすぎによるデメリット
 水の摂り方が極端になってしまうと、カラダにも大きな影響を与えます。ここでは、それぞれのデメリットを確認してみましょう。

水を飲まないと体重は減るが……
 食事制限をして水分の摂取量が少なくなると、一気に体重が減少します。そのため、水分を摂取しないよう意識するダイエット方法「水抜き」と呼ばれる減量方法もあります。ボクシングなど体重制限のある競技では、このイメージが強いかもしれません。試合の計量ぎりぎりまで水分を制限し、体重を減らすというのはよく聞く話でしょう。また、ボディビルの大会などで、カラダの水を抜いていっそう締まったカラダにするという話もよくあります。

 しかし、あくまでもこれは一時的なカラダの変化によるものであり、長期的に続くものではありません。試合直前や競技など、どうしても必要に迫られるという人以外は、水抜きはするべきではないのです。

飲みすぎるとどうなる?
 基本的に、摂取した水分は体外に排出されます。そのため、飲みすぎるということに対して心配はありません。ただし、あまりにも過度な摂取には注意が必要です。

 「水中毒」という言葉を聞いたことがある人もいるでしょう。水を大量に飲んでしまうと体内のナトリウム濃度が低下することで低ナトリウム血症になり、頭痛や嘔吐、意識混濁などの症状が起きることがあるのです。最悪の場合は死に至ることもあり、まれにニュースなどでも報じられています。

 しかし水中毒になるほどの過剰摂取は、あくまでも病的に水を欲しがるような際に起こる症状です。日常生活で意識的に水を飲む程度であれば、まったく心配はないでしょう。

運動している人・食事コントロールをしている人は意識して水を摂取しよう

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 運動することで汗の排出量が多くなります。汗が多くなれば体内の水分量が減少するので、摂取したい水分量も多くなるものです。また、食事コントロールで食事量を減らしている人の場合も食事から摂取できる水分量が減少するので、いつも以上に水分は摂取する必要があります。

 日頃から運動を行う、食事をコントロールしている人は、普段から意識して水を飲むことが大切です。

 普通の人は、1日に約1.5〜2リットル摂取することが推奨されています。一方、トレーニングしている人は、約4〜6リットル程度を目安に摂取しましょう。カラダ作りのプロであるボディビルダーにもなれば、それ以上摂取している人も大勢いますが、一般の人は真似する必要はありません。

 そして、水は一度に飲むのではなく、少量をこまめに摂取するようにしましょう。


 水はカラダ作りに欠かせない、いわば栄養素のようなもの。カラダ作りをする人は、十分な水を摂取するよう心がけてください。

[著者プロフィール]


和田拓巳(わだ・たくみ)
プロスポーツトレーナー歴16年。プロアスリートやアーティスト、オリンピック候補選手などのトレーニング指導やコンディショニング管理を担当。治療院での治療サポートの経験もあり、ケガの知識も豊富でリハビリ指導も行っている。​医療系・スポーツ系専門学校での講師や、健康・スポーツ・トレーニングに関する講演会・講習会の講師を務めること多数。テレビや雑誌においても出演・トレーニング監修を行う。運営協力メディア「#トレラブ(https://tr-lv.com/)」などで多くの執筆・監修を行い、健康・フィットネスに関する情報を発信している。日本トレーニング指導者協会 JATI-ATI
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<Text:和田拓巳/Photo:Getty Images>
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著者プロフィール

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