黒田が苦しみを乗り越えて得たもの=2011シーズンを終えて
シーズンを終えて涙 「精神的にしんどい」日々も
序盤は勝ち星に恵まれなかった黒田だが、8月に5勝を挙げるなどメジャー自己最高の13勝をマークした 【Getty Images】
5月半ばから2カ月半、好投しても勝てない登板が続いた。クオリティースタート数を重ね、防御率は下がる一方だった。だが、打線の援護に恵まれず、増えるのは黒星ばかりで、「精神的にすごくしんどい」日々だった。
その時、黒田は言った。
「肉体的には毎年、中4日、5日で回るということはしんどいし、体のケアなり、コンディションを整えるということは、この4年間変わらずしんどいことだけど、それ以上に良い投球をしてもこれだけ負けが付くというのは……。でも精神的に強くなるために良い試練と思ってやりたい」
チーム残留とツキが変わった8月
結局、黒田はドジャース残留を決めたのだが、トレード騒動で揺れた同期間は黒田にとって「救われる」期間でもあった。
「普通に勝ち負けの数字だけ見れば、僕は名前が挙がるような選手じゃないが、自分の信念を持ってしっかりやっていれば評価してくれるところがあるというのは救われるところだし、それがないとどちらかというとモチベーションを保つのが難しい。多少なりとも自分が今、精神的に強くいられるのは、そういう部分があるからかもしれない」
そう話した時の黒田の成績は6勝12敗。黒星は白星の倍になっていた。だが、負け数が13敗になった後、ドジャース残留を決めた黒田のツキが変わった。8月は6試合に登板して5勝をマーク。最終的には今季の勝ち数をメジャー自己最高の13勝(16敗)とし、防御率も最高の3.07をマーク。2年連続で最後までローテーションを守り、4年目で初めて200投球回をクリアした。