Krushの仕掛け人、格闘技業界を斬る!=特別インタビュー
K−1、そして3R制の導入
魔裟斗や佐藤嘉洋など、K−1のリングで活躍する全日本キック出身者は多い 【t.SAKUMA】
格闘技通信の編集長であった谷川(貞治)さんやスタッフの皆さんとは、全日本キック時代からのお付き合いですし、いろいろと協力をしてもらっているし僕もできるかぎりの協力をさせてもらうと。自分はそういう姿勢です。
――例えば仮にK−1に何かがあった場合、Krushの方向性みたいなものはどのようになるのでしょう。
KrushがK−1の登竜門的な部分を担っている部分もたしかにありますが、それだけではありません。ジムや選手には常に目指すものが必要ですし、ランキングを創って、ベルトを創ってと目標を設定してお客さんに楽しんでもらうにはどうすれば良いのかということは、その時々で考えています。前回の興行でもISKA(格闘技の世界団体)さんと仕事をしました。選手からワンマッチでどこまでやれるかを試したいという要望もありましたので、そのような目標を設定したつもりです。いずれはKrushもインターナショナルなものにしていきたいですし、いつまでもK−1あってのKrushというのではダメだと思ってますよ。
――K−1つながりでお聞きしますが、K−1の公式ルールであった3分3Rを最も早く取り入れたのは全日本キックでした。当初はキック関係者からかなりの非難もあったと思いますが。
5R制でやっていた時は、若い選手が5Rを計算して戦っていることが多くありました。選手はスタミナ配分を考えているのかもしれませんが、お客さんにしてみればそれは関係ないわけです。本部席からお客さんを見るとパンフレットを読んでいたりするのが見えたりする。これって無駄な時間なのではないかと。本来、タイトルマッチに行くような選手なら、そこに行くまでの過程で戦いをアピールして、自分を磨いていかなければならない時期。その時期に計算しながら戦っているようではダメだと思い3R制を採用しました。
――3R制にはそのような考えがあったのですね。現在はほとんどのキック団体が全日本キックに追随するかたちで3分3Rのルールを採用しましたね。
時代とともにルールは変わっていくものだと思います。例えばの話、1R5分やタッグマッチだってあるかもしれません。変化をしないのは楽ですけど、変化を恐れていてはダメだと思います。やはりリング上はバチバチした刺激しあうものがないと、お客さんは逃げてしまいますよ。
「会社という単位で考えるなら、競合してもいい」
門を開けて行き来を自由にして、果たしてそれで盛り上がるかといったらそれは疑問ですね。ただ、しっかりお話しをさせてもらえる団体さんとは交流しています。それと、ジムや選手のこういう選手と戦ってみたいという要望もできるかぎり聞いていこうと思っています。選手にはできるだけ良い状態で、良いタイミングで試合をしてほしいと思っていますから。リングに選手を上げるためには様々な仕事があるわけで、仕事の話がきちっとできないところと交流は難しいですね。
――それでも団体がこれだけあり、それぞれに各階級があって、各チャンピオンがいるというのはあまりにも業界自らが価値を下げているようにも思いますが。
例えば、一般社会での会社という単位で考えるなら、いろいろな会社があって競合していいわけですよね。同じ業界や業種だから1つの会社でなければならなという理由はないですよね。僕自身はキックボクシング界にはあまり興味がないです。ただ、その団体さんで成り立って完結している世界もあるわけで、ある程度成り立っている人達にとっては、それでいいのではないかと。僕はKrushを競技ではなく興行だと思っていますから。