イチロー、オールスター危うし?=実績が選手投票でどう評価されるか
不振脱出、調子を取り戻したイチロー
イチローの不振は地元シアトルでも大きく報道された 【木本大志】
これまでイチローは、ダッグアウトを背に一番左側の階段からグラウンドに出ていた。過去10年ずっとかと言われると自信がないけれど、覚えている限りでは、左だった。
ところが最近、真ん中の階段を使う。初めは、左側の階段付近にはメディアが多く、通り道をふさいでいるからだと思ったが、6月17日(現地時間、以下同)も18日も、そこに誰もいなかったのに、イチローは真ん中の階段を駆け上がった。
いつからとははっきりと記憶にないものの、仮にヒットが続くようになってからのことであるのなら、ちょっとした験担ぎなのかもしれない。その効果を結果だけで判断するなら、不振から復調への戻しが、別人かと思うほどの違いとなっている。
6月10日にスタメンを外れたが、その前の10試合は41打数5安打(1割2分2厘)。11日以降は、9試合で39打数18安打(4割6分2厘)。
6月に入ると、日を追って地元シアトルのスポーツラジオ局は、「イチローは終わった」とのスタンスを強め、地元紙も、“イチローが衰えた”と断定した上で、イチローとチームは、その現実を受け入れる必要があるなどと論を進めていたが、その考え方は今、行き場を失っている。ラジオ局などはすでに、「さすが!」と手のひらを返した。
ただ、戻したとはいえ、21日現在の打率は2割7分9厘で、まだ3割を下回り、72試合で84安打というのは、年間186安打ペース。彼のスタンダードからすれば、物足りない。
ファン投票での選出は厳しい状態
21日に最新の中間発表の結果が出たが、アメリカンリーグの外野手部門では6位で、前回よりも一つ順位を下げた。
1位:ホセ・バティスタ(ブルージェイズ)415万6940票
2位:カーティス・グランダーソン(ヤンキース)347万3227票
3位:ジョシュ・ハミルトン(レンジャーズ)240万408票
4位:ジャコビー・エルズベリー(レッドソックス)224万9323票
5位:カール・クロフォード(レッドソックス)178万9097票
6位:イチロー(マリナーズ)153万7101票
締め切りは6月30日とまだ先だが、上位との得票差はむしろ中間発表の回を追うごとに開いており、ファン投票での逆転出場はかなり厳しい状況か。
ちょうど打率が下降を始めた時期と、ファン投票の開始が重なった不運が遅れにつながったともいえよう。
となると、次は選手投票による選出が望みだが、多くの選手が今年の成績を重視して投票する傾向があることを考えると、今の2割7分台という打率は微妙で、ファン投票に近い結果が出るかもしれない。