NBAオールスターをめぐって、ある選手の不満
8年ぶりとなるルーキーの選出に……
グリフィンは、ルーキーながら華々しい活躍で、弱小チームとして知られていたクリッパーズを盛り上げている。迫力のあるダンクなど、見るものを魅了させるプレーが光り、「選ばれて当然」といえる存在だ。
ところが、彼の選出に不満をぶちまけた選手がいる。トレイルブレイザーズのアンドレ・ミラーである。
「彼は(スポーツ専門局)ESPNのハイライトで毎日のように扱われている。ファンが彼のプレーを見たいのは分かるけど、彼をチームではなく個人として扱いすぎている。レブロン・ジェームズでさえルーキーの時はオールスターに選ばれていないのに」。つまり、グリフィンの選出は不公平というわけだ。
ミラーはリーグでも有数のポイントガードであり、キャリア12年目のベテランだ。しかし、NBAファンでなければ彼の名前を知っているものは少ないと思う。それほど地味なタイプの選手なのである。
ミラーは12月にクリッパーズと対戦した際、グリフィンに激しく体当たりし、出場停止処分を受けた。それが今回のコメントにつながったと見る者も少なくないが、それ以上に大きな理由があると見ている。
ミラーが口にした不満の真意
クリッパーズのイメージを大きく変えたグリフィンは、ミラーが言う通り、試合があるごとにそのハイライトがESPNの人気番組で映し出される。だが、プレーに芸があるわけではないオードリッジがハイライトで取り上げられることは極めて稀(まれ)だ。成績はクリッパーズより上といえども、それほど注目を浴びるチームではないブレイザーズは、試合の取り上げられ方も小さい。
このようなチームがあるから、控え選手の投票を前に、各チームは「わがチームの○○選手に一票をお願いします」と他チームのヘッドコーチに高級ワインなど、さまざまなプレゼントを贈る。ヘッドコーチは自らのチームの選手は選べないので、チームによってはこのキャンペーンを派手に行うところもある。
だが、「やはりテレビによる露出度の多さにかなうものはない」とミラーは言いたいのであろう。
今回は、オードリッジのみならず、レーカーズのラマー・オドム、ウォリアーズのモンタ・エリスら、選ばれてもおかしくない選手が続々と選出から漏れている。
だがこれはヘッドコーチがオールスターにふさわしいと思った選手に投票した結果であり、選出されなかった選手は気持ちを切り替えるしかないのである。
ただそんな時、自分のために声を上げて不満をぶちまけてくれるチームメートがいることは、結構うれしいことではないだろうか。
チームスポーツでは、“help each other(互いに助け合う)”や“defend each other(互いにかばいあう)”という言葉がよく使われる。
それがゲーム以外で行われるのも、素晴らしい“チームワーク”だと思う。
<了>
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