今田道場・松本が涙の王座奪取「今までで一番幸せ」=DEEP

長谷川亮

菊田や三崎も祝福、松本が悲願の王座初戴冠 【長谷川亮】

 総合格闘技「DEEP 48 IMPACT」が3日、東京・ディファ有明で開催された。メーンで行われたのは王者・大塚隆史と挑戦者・松本晃市郎によるDEEPフェザー級タイトルマッチ。
 5月の「DREAM.14」で宮田和幸に敗れた大塚にとっては名誉挽回(ばんかい)を期しての一戦、対する松本にとっては昨年ライト級でタイトル奪取に失敗して以来(菊野克紀に1RKO負け)2度目の王座挑戦であり「後のない」(松本)戦いとなった。

下馬評覆し戴冠、三崎や菊田も祝福

残り1分で会心のテークダウン、結果的にこれが勝敗の分かれ目となった 【長谷川亮】

 試合は開始早々に得意のタックルで入った大塚が松本のバックを奪う。しかし松本はいい展開を与えず、ここから逃れるのに成功。その後も打ち合いを仕掛けつつタックルへ入る大塚だが、松本は切って押し戻し、大塚に思ったような展開を許さない。
 2R、松本の体に「厚みを感じた」という大塚は、体格差と度重なるタックルにより体力を消耗したか、やや疲れが見え始める。一方、松本の表情はしっかりしていて余力を感じさせ、スタンド打撃の攻防でもプレッシャーをかけるようになる。
 だが、最終3Rは大塚もミドルを打ち込み、積極的にタックルで入って再びバックへつくなど、王座死守へ意地を発揮する。両者五分、あるいはやや大塚ペースで進んだ最終ラウンドだったが、残り1分でパンチの追撃を狙った大塚に松本が組みつきテークダウン。土壇場で決めたこのテークダウンが両者がともに認める勝負の分かれ目となり、5ジャッジ制の採用された判定は3−2で松本。
 不利の下馬評を覆して念願のベルトを腰に巻くと、「生まれて今ままで一番幸せです」と涙を光らせ、三崎和雄、菊田早苗、ジャリズム山下しげのり、カラテカ入江慎也といったメンバーからの祝福を受けた。

上山vs.パーキーは反則技で主催者預かりに

セミファイナルはパーキー(左奥)の反則技によりいったん主催者預かりに 【長谷川亮】

 セミファイナルで行われたのは初代DEEPミドル級王者・上山龍紀と、昨年DREAM出場を果たしたコリアン戦士パーキーによる74キロ契約の日韓戦。
 DEEPには旗揚げ戦から参戦し、02年6月には1日3試合のトーナメントを勝ち抜きDEEP初のチャンピオンとなるなど、DEEP創成期を支えた上山であったが、その後は怪我やブランクもあり低迷。DEEPでは3戦3勝で無敗を誇り、圧倒的強さを見せるパーキーを相手に再浮上を懸けての一戦となった。

 テコンドー3段で、DEEPにおいてもその打撃の強さを遺憾なく発揮してきたパーキーだが、先手を取ったのは上山。サウスポーからの右ジャブをタイミングよく突き刺し、一瞬パーキーの動きを止める。
 だが、ここを乗り切るとパーキーは上山の蹴り足をキャッチして転ばせリズムを崩し、右ストレート、ハイキックと次第に攻勢へ移ってくる。
 圧力を発し始めたパーキーはタックルを切り、まだうずくまった体勢のままの上山へ頭部を狙った蹴りを連発。しかしこのうちの1発が、DEEPでは反則となっているグラウンド状態でのヒザ蹴りの形で当たってしまい、レフェリーが試合をストップ。
 リング上で上山の回復を待ったがダメージは深く、主催者がいったん試合を預かる形で両者はいったん控え室へ引き上げることとなる。
 結局上山はダメージからの回復が困難と判断され、試合の裁定も主催者預かりで、VTRで確認・判断された後4日以降発表となることに。
 再浮上を懸けた上山、DREAM再出撃を目指すパーキー、どちらにとっても浮かばれない結果となってしまった。

タイトル戦に臨む4選手が意気込み

2大王座戦に臨むことが決定した(左から)宮下、今成、福田、桜井 【長谷川亮】

 10月下旬には50回目となる記念大会を予定するDEEPだが、この日はそれに先んじて8月27日の「49 IMPACT」(東京・後楽園ホール)の開催を発表。同大会においてバンタム級王者・今成正和vs.挑戦者・宮下トモヤ、ミドル級王者・福田力vs.挑戦者・桜井隆多の2大タイトルマッチが行われることも明らかとなった。
 4選手は第7試合終了後にリングへ上がると、マイクを手に観客へあいさつ。試合への意気込みを語った。各選手のコメントは以下の通り。

宮下トモヤ
「パワーオブドリームの宮下です。まずこのチャンスをくれた佐伯社長に感謝します。今成さんは昔ずっと練習してて、その時から今もずっと尊敬しています。でも試合になれば別なんで、日本一のフロントチョークを食らってもらいます。全力でぶつかっていきます」

今成正和
「こんばんは、今成です。ギロチンを食らわないように気をつけます」

福田力
「試合まで精一杯練習して、楽しい試合になるよう頑張ります。よかったら見に来てください」

桜井隆多
「R−BLOODの桜井です。頑張ります」

「DEEP

7月3日(土)東京・ディファ有明 開場15:00 開始15:30

<メーンイベント DEEPフェザー級(65.8キロ契約)タイトルマッチ 5分3R>
●[王者]大塚隆史(AACC)
(3R判定3−2)
○[挑戦者]松本晃市郎(今田道場)
※松本が新チャンピオンに

<セミファイナル 74キロ契約 5分3R>
−上山龍紀(U−FILE CAMP/初代DEEPミドル級王者)
(1R4分16秒 主催者預かり)
−パーキー(韓国/CMA KOREA)
※結果は7月4日以降に発表

<第10試合 無差別級契約 5分2R>
●誠悟(フリー)
(1R0分49秒 TKO)
○田澤和久(THUG LIFE香和)

<第9試合 77.1キロ契約 5分2R>
○岩瀬茂俊(T−BLOOD)
(2R判定3−0)
●キム・ドンヒョン(韓国/CMA KOREA)

<第8試合 77.1キロ契約 5分2R>
○石川英司(GRABAKA)
(2R判定3−0)
●クォン・アソル(韓国/CMA KOREA)

<第7試合 62キロ契約 5分2R>
●堀 友彦(フリー)
(2R判定3−0)
○中村“アイアン”浩士(東京イエローマンズ)

<第6試合 65.8キロ契約 5分2R>
○長倉立尚(吉田道場)
(1R4分41秒 反則)
●加藤友弥(BONDS)
※加藤の2回のローブローにより

<第5試合 70.3キロ契約 5分2R>
−伊藤有起(ALLIANCE)
(試合中止)
−川崎泰裕(R−BLOOD)
※伊藤の計量失敗により中止

<第4試合 62キロ契約 5分2R>
○原田ヨシキ(マッハ道場)
(2R判定3−0)
●小林聖人(総合格闘技津田沼道場)

<第3試合 70.3キロ契約 5分2R>
●近藤定男(BLUE DOG)
(2R判定3−0)
○梅田恒介(R−BLOOD)

<第2試合 70.3キロ契約 5分2R>
○植田 豊(GRABAKA)
(2R判定3−0)
●アン・ジヨン(韓国/CMA KOREA)

<第1試合 65.8キロ契約 5分2R>
●片岡誠人(リバーサル)
(1R4分36秒 TKO ※レフェリーストップ)
○キルヨンボック(韓国/AM FORCE)
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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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