永田裕志、東金大会インタビュー=新日本プロレス
プロデューサー永田が語る9.12東金大会の見どころ 【スポーツナビ】
営業、プロデューサー、選手としてフル回転する永田をスポーツナビは直撃し、大会の見どころを聞いた。今大会の大きなテーマとなる“スポーツ少年に夢”の意味、タッグパートナー・曙の評価、そして抱腹絶倒のブログについても語っている。
「セルジオ越後さんにサッカーを教わったことが励みに」
自身の経験を踏まえ、プロの選手と接して「スポーツ少年に夢を持ってほしい」と永田 【スポーツナビ】
準備は着々としています。今回は興行だけじゃなく、テーマとして“スポーツ少年に夢”というか、そういうものを持ってもらいたいと。前回、初めて15周年興行をプロデュースしたとき(2007年9月9日)、そういう意図もあってスポーツ少年団の小学生たちを会場に招待して観てもらったりしました。
今回はより突き詰めて、子どもたちがスポーツをやる上で“夢”になるのは、やっぱり最前線でやっているプロの選手とか、そういう人たちと触れ合うことが子どもにとってすごく大きなことだと思うんですよ。
――確かにそうでしょうね
僕自身、子どもの時にサッカーをやっていた時期があって、隣町かどこかでセルジオ越後さんのサッカー大会があったんですよ。そこに参加してセルジオさんの指導を受けながら、トーナメントに優勝したことがあって。その時まだ選手だったセルジオさんに会って、サッカーを教わったことがすごく僕の中で大きかったんですよ。それが今でも忘れられなくて。
――セルジオさんに直接指導を受けていたんですか
それで、今年4月にテレビ朝日の方の披露宴に招待されて行った時、何十年ぶりかにお会いしたんですよ、セルジオさんと。そこでご挨拶もしたんですけど、今でもすごくうれしかったというのがありまして。当時サッカーをやるのにすごい励みになったし。
――トップ選手と触れ合うと何らかの刺激にはなるでしょうね
中学校の時は野球をやっていたんですけど、野球は野球でプロ選手の野球教室に行ったんですよ。ジャイアンツの310勝投手の故別所毅彦さんと、あと大洋(現横浜ベイスターズ)の監督も務めた須藤豊さんの教室を受けて、やっぱり「プロ野球選手に教わった!」というのはすごく印象に残りましたから。
――永田選手自身、そういった部分で影響を受けていたと
その後、レスリングを始めてオリンピッククラスの選手と練習をしたり、馳(浩)さんもよくうちの道場に来て稽古(けいこ)をつけてもらったり。そういうのがやっぱり(自分の中に)残っていて、ずっといろいろなスポーツをやりながらレスリングにたどり着いて、そこでオリンピック目指した。そして最終的にプロに行きたいと思ったのは、必ず節目節目で競技は違えどもプロの人と接してきたからなんです。
永田が憂う子どもたちの現状「“痛み”を感じてほしい」
プロレスを生で観て、その痛みを感じてほしいと永田は願う(写真は8.16両国) 【t.SAKUMA】
くしくも来年、千葉で国体(国民体育大会)の年なんですよ。だからスポーツはどんどん盛んになってほしいし、たくさんの子どもたちにスポーツをやってほしいし。その中でプロの人と接する機会を作ってあげたいと。そういうことで今回、少年野球の野球教室に元プロの選手を呼んだり、あとは元Jリーガーの選手も何人か呼んでサッカーを見てもらったり。
――プロレスだけではなく、他のスポーツでもそういう機会を作ると
僕のルーツがサッカー、野球、レスリングですから。それで地域のレスリングクラブの子どもを呼んで弟(克彦)や、たまに僕が見たり。もしかしたら他のレスリング上がりのプロレスラーにも来てもらうかもしれないし。そういう形で子どもたちにスポーツの夢を持ってほしい。そしてプロレスを見てほしい。
――プロを目指すきっかけ作りになればという考えですか?
それを地域の子どもたちにプレゼントしたいなと。まぁ興行でも打たないと、僕がこういう機会を作ってあげることができないので。興行をやりながら、地域にそういう還元をしたいなと。今は東金市だけですけど、それがやっぱり千葉県全体に広がって、大人になった時に「子どもの時、こういう思いをして、すごくよかったんだよ」ということをどこかで思い出してくれればね。
――その中でプロレスの素晴らしさを知ってほしいと
今、子どもたちがプロレスを見る機会がないですからね。そういう中で永田裕志を知ってもらって、永田裕志のプロレスなり新日本の精鋭陣のレベルの高い・おもしろい試合を見てもらって、プロレスを理解してほしいなと。
――素晴らしい企画ですね
やっぱり今、子どもたちがスポーツをしない・体を動かさないことで、インターネットとかでいろいろなものを見ていると思うんですよ。だけど実際に自分の体を動かさないことで、人に何か攻撃したときの“痛み”を感じられなくなった時代になってきているんですよね。インターネットとかで見ることもいいんですけど、実際に生でプロレスを見てほしい。
そして、あんまりプロレスのマネはしてほしくないんだけど、でも絶対やっちゃうんですよ。その中で痛みを感じることで、「こういうことをやると人は痛い思いをするんだ。自分が痛いことは人にしちゃいけないんだ」ということを理解してほしいなと。
――なるほど
もちろんプロの人・鍛えた人間にしかできないことなんだけど、痛みを感じてほしい。これは勝手な見方かもしれないけど、最近プロレスのテレビ番組が深夜帯なので、プロレスを見ないことで“プロレスごっこ”をしなくなったんですよね。それはいいことである反面、子どもたちが痛みを感じなくなった一因かもしれないし。プロレスごっこはやっちゃいけないことなんだけれども、プロレスを生で見ると痛みが分かるじゃないですか?
――屈強な男たちがリングで戦うと、その迫力は相当なもので伝わりやすいですよね
テレビとかインターネットとかで見るよりもね。そういうものを感じてほしいなと。それで「こういうことはやっちゃいけないんだな」ということを学んでほしいですよね。
――スポーツ振興を通して、人間形成を育むと
そうですね。僕が勝手にアレしちゃったことなんですけど(笑)。