ブラウン、フェイバーを返り討ち、パルバーは引退に言及?=WEC41
ユライアを返り討ちにした王者・ブラウン。次なる挑戦者はジョゼ・アルドでまず間違いないだろう 【photo by ZUFFA】
昨年11月、“フェザー級絶対王者”と称されたユライア・フェイバーを2分強で攻略したマイク・ブラウン。この日は、立場を変えての再戦=WEC世界フェザー級選手権試合をメインイベントに、その他ラインナップにおいても、“同級トップコンテンダー”ジョゼ・アルド、ライト級王座奪還へ再始動を果たしたドナルド・セラーニ、“背水のベテラン”ジェンス・パルバーら注目選手が続々と名を連ねた。
ユライアの地元サクラメントで行われたリベンジマッチは、敵地ながらも王者ブラウンが返り討ちに成功。5Rをフルに戦う長丁場となった一戦は、ユライアが1Rに拳を負傷し、クラッチもままならない状態でのファイトを強いられ、そのユライアから幾度もテイクダウンを奪ったブラウンが手堅く判定勝利を掴んだ。試合後には感極り、涙を見せたブラウンに対し、敗れたユライアは、「1Rにやっちゃった。申し訳ない。サクラメントのファンに礼を言いたい」と話した。
セミファイナルに登場したフェザー級最強の挑戦者ジョゼ・アルドは、実力者カブ・スワンソンを相手に、ジャンピングニー連打で、僅か8秒での勝利。次期王座挑戦を確実なものとする豪快な勝利で弾みをつけた。
さらに、目下3連敗中のパルバーは、ジョシュ・グリスピのギロチンに一本負け。試合後、一度は「ここでキャリアの終わりにしたい」と語ったものの、後から言葉を濁し、複雑な胸中を垣間見せる場面も。また、ジェイミー・バーナーとの一戦では不本意な結末となったドナルド・セラーニは、ジェイムス・クラウスを相手に余裕の一本勝ちを挙げている。
第10試合
2度目の防衛に成功したマイク・ブラウン。05年12月に今成正和に敗れて以後、この日の勝利で実に10連勝を達成した 【photo by ZUFFA】
飛び込んでワンツーを放ったユライアが距離を取ったところで、ブラウンがテイクダウンを奪う。バックに回ったブラウンは、左手を腿に差し、ユライアが回りこまないよう阻止すると、後方からヒザを蹴り上げたブラウンに、向かい合ったユライアもヒザを繰り出す。右を思い切り振るったユライアだが、直後にまたもテイクダウンを奪われてしまった。
ワールドからサイドを奪ったブラウンに、片足で上を奪おうとするユライアだったが、立ち上がられたところで1Rが終了。2R、左ジャブから距離を詰めようとするユライアだが、ブラウンは右ハイから逆に左右のキックでプレッシャーを与えていく。
ここでもイージーにテイクダウンを奪ったブラウンは、バックから首を狙っていく。立ち上がったユライアの腿にヒザ、そのまま後方からパンチ、さらにテイクダウンと攻め続ける王者。ユライアはギロチンを仕掛けるも、首を抜いたブラウンはサイドへ。
足を差し込み、持ち上げるようにして距離をつくりながらサイドに抜け出し、立ち上がったブラウンは、片足タックルでユライアを持ち上げると、ケージサイドまで運び、優勢にラウンドを終えた。
3R、左ジャブと右ヒジを使い、近距離になると組みつくユライア。ブラウンはギロチンで切り返し、スイープの要領でトップを奪い、スタンド、グラウンドの状態でも常に動き続ける。トップのユライアを押しのけ、そのままヒールホールドを見せるなど、器用な一面も見せた王者ブラウンに、ユライアはトラウマになっていて然りのバックエルボーを繰り出した。
ユライアの右ヒジに対し、右フックを見舞い、組みついてはケージに追い込んだブラウンに対し、右の拳の明らかに痛めたユライアは、組技の展開でクラッチを組むことができない。
4R、ダーディ・ボクシングで攻めるブラウンは、ケージに詰まったユライアに左フックをヒットさせる。右のパンチを使えず、クラッチも組めないユライアを精神的にも圧倒し、優位に立つブラウンは、距離を詰めてボディ、左フック、右ストレート、ダーディ・ボクシングと攻め続ける。防戦一方のユライアは、反撃の糸口すら掴めない。
ユライアが飛び込んできたところに、ブラウンは右アッパーを合わせる。最終ラウンド、必死に組みつくユライアだが、やはり片手では攻撃の手段が限られてしまい、テイクダウンを奪われてしまう。
ギロチンでもクラッチできないユライアは、スタンドで向き合うと起死回生のギロチンを狙ったが、大きく持ち上げられるとキャンバスに叩きつけられてしまう。グラウンドで極めることにこだわるブラウンは、ここでもテイクダウンからバックを取り、着実に攻め続ける。
残り時間2分を切り、ノースサウス・チョークを狙ったユライアだが、これも決定的シーンには至らず、スタンドへ。残り時間30秒を切り、テイクダウンを狙ったブラウンに対し、ユライアは最後まで手を出し続けたが、ここで試合終了となった。
結果は、49−46が2人、48−47が1人というジャッジでブラウンが判定勝ち。防衛に成功したブラウンは感極り、涙を見せる。一方で「1Rにやっちゃった。申し訳ない。サクラメントのファンに礼を言いたい」と述べたユライア、その右の拳は尋常ではないほど腫れ上がっていた。