MLB日本開幕戦にまつわるお金のお話
来日手当ては最低でも400万円
MLB日本開幕戦記者会見でのレッドソックス、ヘンリー・オーナー。その視線の先に新たなビジネスチャンスが見える? 【Getty Images】
年間で約20億円を稼ぐ、例えばレッドソックスのマニー・ラミレスにしてみれば、コーヒー代程度の金額かもしれない。しかしチームが再建途中にあり、ロースターに名を連ねる選手の半分近くがメジャーの最低年棒(39万ドル=約3900万円)でプレーしているアスレチックスの選手にしてみれば、信じられない額だろう。
例えば、年棒が4000万円とする。レギュラーシーズン全162試合に出場するとすれば、1試合当たりで手にする額は24万6914円。ところが東京では1試合で200万円。12時間のフライトが、彼らにとって苦痛であるはずがない。
また、チケットの販売状況によって、その分のインセンティブももらえるそう。その販売状況というのは、もちろん2試合とも完売だから、彼らはその場合の満額5000ドル(約50万円)をさらに受け取ることができるらしい。
レッドソックスの選手については、もっともらっているといううわさもある。これについてはアスレチックスの選手が「不公平だ」と訴えているようで、選手会長のヒューストン・ストリートが選手会に問い合わせをしているとか。
その詳細については確認が取れないが、いずれにしても400万円というボーナスが保証されていることで、大きな不満にはなっていないよう。
新たなビジネスを模索する球団
バド・セリグ・コミッショナーが、「今、われわれは黄金期にある」と言うのもうなずけよう。
選手だけでなく、レッドソックスとしてもこの機会をビジネスチャンスととらえている。
日本での人気拡大という間接的なことだけがその狙いではなく、なんと彼らはことしに入って旅行代理店を立ち上げ、日本開幕戦の帯同ツアーを売り出しているのである。
参加人数によって値段は違うが、今回の日本遠征に1人で参加した場合の料金は、5499ドル(約55万円)。2人で参加すれば、1人当たり4999ドル(約50万円)。
パッケージには往復航空券のほか、公式戦2試合分のチケット、巨人とのオープン戦のチケットなどが含まれ、宿泊は選手と同じホテル。また、期間中には選手らと交流できる簡単なパーティーもあるらしい。
これが高いか安いか、その判断は人それぞれだが、今フェンウェイ・パークのチケットを買うことは、極めて難しい。そう考えて、さらに一生に一度の事と割り切れば、高くないのかもしれない。
ちなみにレッドソックスは、こうした遠征ツアーをほかにもパッケージ化して売り出している。例えば、6月13〜15日のレッズ戦は、やはりチケット以外に航空券、ホテルがついて、2人で参加した場合一人773ドル(約7万7000円)。
このツアーにはまだ空きがあるようだが、5月30日から6月1日に行われるボルティモアでのオリオールズ戦は、すでに完売。6月16〜18日からフィラデルフィアで行われるフィリーズ戦も完売である。
昨年、レッドソックスのアウエーでの観客数が、ヤンキースを上回った。その人気をうまく利用するのは、ある意味ビジネスの常とう手段か。
アスレチックスとしても、今回の日本遠征では利益を見込む。今回の2試合は、いずれもアスレチックスのホームゲームとして行われるが、地元で失われる分の利益をリーグが補てん。その額は明らかにされていないが、実際に地元で2試合を行うことによって得る利益を上回る見込みという。
もともと客が入るチームではない。そういう意味では実入りもあり、さらにはアスレチックスの名を日本に売り込むこともできる。
長距離移動を含む日程は選手にとって厳しいものだが、野球が興行である以上断る理由はない。
<了>
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