竹下佳江インタビュー 最後の五輪を目指して

 2005年から全日本の主将を務める竹下佳江。北京五輪の出場権をかけたワールドカップ(以下、W杯)開幕を前に、北京を「私が目指す最後の五輪」と位置付ける竹下が思う、チーム力向上を目指す上での葛藤、プレーする上での揺るがない意識とは。

グランプリでの反省

全日本女子の主将を務める竹下。代表であることへの強い思いを胸に、ワールドカップへ臨む 【坂本清】

――グランプリの評価と、反省点は?

 (大会が始まってからの)ポジションチェンジなど、すごく難しい大会だったなっていうのが、正直なところです。
 アテネ五輪が終わってから、いろいろなメンバーが入れ替わりながらやってきましたが、いつも「チームとして、こうやって戦っていこう」というものを、すごく必死にやってきました。でも、今年のGPは、チームにバラつきがありました。終わった後も「良かったね」っていう言葉もまったくないくらい。自分たちも、周りからも厳しい言葉の方が多かった。でもそれは、自分たち自身もよく分かっている事です。そういう意味では全てが反省ですし、チームとして戦いきれなかったというところだと思います。
 (GP後について)GPがスタートした段階で、チーム練習があまり出来ていなかったことをみんなで話していました。日本はチーム力で戦わないといけないので、チーム練習で確認するところや、明確にするべき所をはっきりさせていこうと、GP後の練習に入りました。

――今年の1番大きな大会(W杯)について、不安や焦りは芽生えてきませんか?

 不安とか怖いとか言っている時点で、やっぱりそれだけの事しかやっていない、ということに尽きると思うんですね。だからやっぱり自分たちがやれる事をやって、その大会に臨むしかないと思っています。
 それから、(試合を)日本でやれる事が当たり前になっている部分って、絶対にあると思うんです。この大会の中で、そうじゃないっていうのを、もう1回自分たちがしっかり考えないと、いけないと思います。
 (代表戦では)あれだけの観客が、あれだけの体育館を満員にしてくれて、私たちの勝利を見ようと思ってきてくれているし、必死に応援してくれる。同時に、笑顔がため息に変わる瞬間っていうのも肌で感じます。私たちもそうだし、まわりもそうだし、本当に支えてくれている人が笑顔になれるか、逆にがっかりしちゃうのか。あと1、2本で決まる勝負は、そこの気持ちの入れよう一つで全然変わってくると思います。そのことを本当に痛いくらい感じたし、絶対もうそういうのはしたくないし。だからこそ、W杯までの間に考えないといけない。そして、後悔がない戦いをしたいなと思います。

――竹下さんのいうチーム力というのは、具体的には?

いろんなチームはありますが、例えばガモワ(ロシア)のような絶対的なエースと1人対1人で対応するなら、その1人に対して私たちは2人で頑張んないといけないところとか。ブロックとレシーブの関係のような。
 個人が1対1で勝負するよりも、1対2でならできる事もあるし、逆に日本が真っ向勝負にいった時に、その後のブロックフォローに入って、そこからの切り替えしで点数を挙げていくとか。
 私じゃなくて大きいセッターとか、日本も身長180〜190センチの選手でそろえてきたら、また違うバレーの形があると思う。でも今私に求められているのはそこだと思う。私が入ることによって、チームも低くなるけど、でも形としてはそういう形で攻めきっていかないと、勝てないだろうし。

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