石崎信弘が九州リーグの宮崎を選んだ理由 原動力は「選手を育てたい」という思い
今季からテゲバジャーロ宮崎の監督に就任した石崎信弘監督 【江藤高志】
1月5日14時に公式サイトを通じてリリースされたこの情報はSNSを通じて瞬く間に拡散。真偽を確かめたい人たちの思いはオフィシャルサイトへのアクセスにつながり、結果的に14時半ごろまでサーバーはダウンを余儀なくされた。広報担当者の話では「元々アクセス数は高いサイトでしたが、その1カ月間の総アクセス数がこの日1日に集中した」という。
多くのサッカーファンに名前を知られている石崎監督が、J2の山形との契約満了後、どのような経緯でJFL昇格を目標にする宮崎の監督に就任することになったのか。監督業にこだわる理由は何なのか。1月16日のチームの始動直後にうかがった。
山形との契約満了後は八戸と中国からオファー
まずは国内で探したけれど、他のチームが見つからなかった。J3もなかった。その中で一つ八戸のチーム(ヴァンラーレ八戸)が興味をもってくれていたんですが、チームの人が言うには先に声を掛けている人がいて、その人がダメだった時にお願いしたいと。
その時はJFLのチームはどうかなと思っていたんですが、その後もオファーがなくて、(八戸は)結局、最初にお願いしていた方に決まったと。誰かと思ったら柱谷哲二監督じゃった。(柱谷監督が所属していたガイナーレ)鳥取はずいぶん早い時期に契約を更新しないと発表していたから(11月1日)、それで動けたのかなと思うけどね(石崎の山形との契約満了リリースは11月13日発表)。
――それでテゲバジャーロ宮崎から話が?
その前に中国から話が来ていて、中国人の高校生を山形で教えるという仕事の話があった。相手は15歳だと言っていた。中国には年代別の全国大会があって、4年後のU−20大会のメンバーを鍛えてほしいと。
――2013年に杭州緑城のU−18を指導していた実績が評価されたのでしょうか。
全国大会で2位になったときに準決勝で対戦したチームの関係者が覚えていて、そういう話になった。山形は環境が良く、グラウンドもたくさんある。ユースが使えるグラウンドもたくさんあって、昼間の時間帯に練習すれば使えるだろうということでね。
――オファーが来なかった理由に昨季の成績不振(J2で14位)があると思うのですが、他に何か理由は考えられますか?
分からんね。何で勝てなかったのかな……。でも何年かに一回はあるよ。何をやってもうまくいかないことがね。大分(トリニータ)のとき(01年)もそうだった。あれは外国人を替えたことでチームが混乱した。(コンサドーレ)札幌の2年目(10年)もうまくいかなかったな。あのときは13位で、その時にはもう辞めようかなと思っていたんだけれど、サポーターが残ってくれと言ってくれて、次の年に(J1へ)昇格できた。だから何があるか分からんね。
――今回は監督業引退を考えたんですか?
そんなことはないよ。中国の話もあったしね。
選手を育てていることに自信がある
石崎監督は「とにかく現場にいたい」という思いから宮崎のオファーを受けた 【(C)J.LEAGUE PHOTOS】
代理人から電話があって、宮崎が興味あるということでぜひお願いしますと。
――チームのことは知っていたんですか?
さすがに知らなかったよ。日本のチームだし、話を聞いてみようと。周りからはJの監督はすぐに変わるから、待っていれば声がかかるということを言われていたんだけど、それが我慢できないんだよね。とにかく現場にいたいんだよ。
福岡に行くことになってね。テゲバジャーロの柳田和洋社長と、スポンサーさんと話をした。その時はいつまでもいてほしいということを言われたけれど、その後に代理人と向こうの間で話がまとまって2年契約ということになった。
――目標はJFL昇格ですかね。
そうだね。でも九州リーグ優勝ではJFLには上がれないからね。J2からJ1に上がるよりも厳しいよ(JFL昇格には各地域リーグの優勝クラブなどが出場する全国地域サッカーチャンピオンズリーグを勝ち抜く必要がある)。
サッカー界では一番きついと言われている。岡田さんも2年かかっているからね(15年に岡田武史元日本代表監督がオーナーとなったFC今治は、2016年にJFL昇格を決めた)。
――今の心境は?
まだ選手がよく分からないから。でも上に上げる上げないは、いろいろな要素があるから分からん。でも、ワシは選手を育てているということには自信がある。試合の結果はいろいろな要素が絡むから一概にはいえないけれど、選手も育てているしチームも育ててきた自負がある。
普通にプライドの高い人だったら九州リーグには行かないだろう(笑)。でもワシには関係ない。J1であろうと、J2であろうと、J3であろうと九州リーグであろうと、そこにサッカーと目標があればやる。中国のときもそうだったしね。
――中国での経験は役に立っていますか?
選手もそうだけど、指導者も経験だからね。中国で教えるなんて経験、そうそうできないじゃろ(笑)。