錦織、今年の全豪はリラックスムード フェデラー戦までに“離陸”できるか?

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錦織の照準は「全豪」より「全仏」

“死のドロー”に入った錦織だが、大会にはリラックスして望んでいる様子だ 【写真:ロイター/アフロ】

 錦織圭にとって全豪は相性の良い大会だ。ベスト8が3回、通算20勝7敗と、グランドスラムの中では最も成績がいい。オフ明けのフレッシュな体調、何でもスタートが好きな選手はいるもので、錦織もそのタイプなのだろう。

 第5シードに入った今年は、いつもより厳しいドローと言われる。ロジャー・フェデラー(スイス)が第17シードまでランキングを落とした現状で、上位シードが早い段階でフェデラーと当たる可能性が出て来た。今回は錦織がその”枠”にはまり、順当にいけば4回戦でフェデラー、準々決勝で第1シードのアンディ・マリー(イギリス)と対戦する組み合わせ。しかし、諸状況を考えると、錦織はむしろ死のドローに積極的な気持ちではないか。テニスの歴史を変えたフェデラーと、グランドスラムの舞台で手合わせする機会は、これからそう多くはない。むしろ望むところ。また、マレーとは昨年1勝3敗だったが、2度の5セットマッチを展開し、次に打倒するだけの自信はある。目標を持った錦織は強い――。

 また、今年は2月に南米でのクレーコート2大会を入れ、その前に日本で開催されるデビスカップ・ワールドグループ1回戦を回避した。明らかに、5月の全仏オープンを照準に入れた体制をとっており、この全豪オープンにそれほどの比重を置いていない。「もちろん、優勝を狙っていきます」と会見で明言したが、それでも、これまでよりはリラックスした気分でこの大会に入っているのは確か。オンコート・インタビューでも、メルボルンでの生活を楽しんでいると答えていた。

“自信家”相手にフルセットの熱戦

クズネツォフ(右)は格上の錦織に対して臆せず積極的なテニスを見せた 【写真:ロイター/アフロ】

 フェデラー戦まで勝ち進めば、気持ちも高ぶり、集中力は上昇する。問題は、そこまでうまく離陸できるか。1回戦は嫌な相手だった。

 アンドレイ・クズネツォフ(ロシア)とはこれまで2勝1敗。1敗は2010年の途中棄権で、昨年、全仏とウィンブルドンの対戦ではいずれもストレート勝ち。力の差はあるが、この25歳はかなりの自信家で、格上の錦織に何の”敬意”も払わない。フォアハンドをフラットでたたきつけ、バックハンドもミスを恐れず角度を効かせてライン際を狙う。

 第1セット、嫌な感じが集中力を鈍らせたのだろう、1ブレークずつの5−5から、ラブゲームでブレークを許して先手を譲った。続く2セットを6−1、6−4で連取するのだが、第4セット、再び集中力に苦しんだ。イージーミスが続き、先にブレークされて追いかける嫌な展開で、タイブレークではミニブレークを先行しながら逆転を許した。ファイナルセットは危なげなく奪ったが、炎天下で3時間34分という試合時間に、「第4セットで決めないといけなかった」と苦笑いした。

 しかし、それも考えようだろう。前哨戦のメルボルン国際で訴えた臀部(でんぶ)の痛みの後遺症はまったく感じさせず、疲れもないと言う。2回戦は、このところ3連勝し、手の内を知っているジェレミー・シャルディー(フランス)だ。本人も周囲もそれほど期待値の高くない大会で活躍するのがこれまでの錦織でもある。ジワジワと本領を発揮してくるだろう。

(文:武田薫)
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