多極化が進むフットボール界の勢力図 C・ロナウド、メッシと主役は変わらず
W杯参加国が48まで増える可能性も!?
バロンドールは2位のメッシに大差をつけ、C・ロナウドに決まった 【Getty Images】
ワールドカップ(W杯)は近い将来に本大会のフォーマットが改正され、参加国数が48まで増える可能性がある。クラブW杯も同様に拡大が検討されているが、それも自然な流れだと言える。これまで国際大会に参加するまでに高いハードルを乗り越えなければならなかった多くのフットボール新興国が、より身近に世界を意識できるようになってきたからだ。
近年はW杯やクラブW杯といった晴れ舞台を具体的な目標とし、アジアでは中国、インドら複数のフットボール新興国が急成長を遂げてきた。その好例は今月、日本で行われたクラブW杯だ。南米やアフリカのチームを抑え、レアル・マドリーとの決勝に勝ち進んだ鹿島アントラーズは、同大会を通して世界に向けて素晴らしいイメージを発信し続けた。
国ぐるみでフットボールの強化に取り組んでいる中国では、国内の経済成長に乗じて急速に資金力をつけてきた複数のクラブが法外な投資を行い、トップレベルの選手を買い集めることによってヨーロッパから移籍市場の注目をさらい始めた。同様に、米国のメジャーリーグサッカーは何年も前からスター選手の獲得合戦に加わっている。
このような流れから取り残されぬよう、とりわけアフリカや南米では、大陸連盟や各国リーグが多極化を志すフットボール界の動きに適応していくことが求められている。南米フットボール連盟(CONMEBOL)が17年よりコパ・リベルタドーレスの開催期間を半年から11カ月に変更したのも、偶然の出来事ではないのだ。
個人タイトルはC・ロナウドとメッシの覇権争いが続く
17年より、コパ・リベルタドーレスは通年で行われる 【写真:ロイター/アフロ】
とはいえ、コパ・リベルタドーレスが通年開催に変わったとしても、ヨーロッパの夏の移籍市場で多くの選手が海を渡っていくことに変わりはない。今後も多くのクラブがコンペティションの半ばに主力の引き抜きを受け、後半戦を前に即戦力の補強を強いられることで、不安定なシーズンを送ることになるだろう。
ヨーロッパのフットボール界は何年も前から変わることのない構図が出来上がっている。アントワーヌ・グリーズマンやネイマール、マルセロ、ガレス・ベイル、セルヒオ・ブスケツ、ルイス・スアレス、ダビド・デ・ヘアらがいくらエクセレントなパフォーマンスを見せたところで、およそ10年近くにわたって、あらゆる記録を塗り替え続けてきたクリスティアーノ・ロナウドとリオネル・メッシの覇権争いに割って入ることは誰もできていない。
個人タイトル争いについて言えば、バロンドールはC・ロナウドに軍配が上がったものの、彼の選出に対しては賛否両論がある。チームではなく選手個人をたたえるために作られた個人賞の選考基準として、チームタイトルの獲得有無が何よりも重視されているという矛盾があるからだ。
チームタイトルを選考基準とするならば、レアル・マドリーでチャンピオンズリーグ(CL)とクラブW杯を制し、ポルトガル代表としてユーロ(欧州選手権)2016で初優勝したC・ロナウドの受賞に異論の余地はない。
だが先に述べた通り、個人賞の選考基準は選手個人のパフォーマンスを基準とすべきか、クラブや代表で成し遂げたチームとしての功績を重視すべきかを、明確にしていく必要がある。