無敗記録を更新し続けるスター軍団 レアル・マドリーの戦術を徹底分析 前編

片野道郎
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けが人が続出も無敗記録を更新

レアル・マドリーは今季も無敗記録を更新し続けている 【Getty Images】

 12月8日に開幕したFIFAクラブワールドカップ(W杯)2016にレアル・マドリーが欧州王者として出場する。今年1月に就任したジネディーヌ・ジダン監督の下、今シーズンは8月9日(以下、現地時間)のUEFAスーパーカップ(対セビージャ/3−2)に始まり、12月10日のリーガ・エスパニョーラ第15節のデポルティーボ戦(3−2)まで、公式戦23試合で16勝7分け無敗という圧倒的な強さを発揮している。

 2016−17シーズンが始まって4カ月弱、ヨーロッパ主要国の1部リーグに所属するチームで無敗記録を更新しているのはレアル・マドリーだけだ。

 特筆すべきなのは、この間のチーム状態は決して良いとは言えなかったということだ。シーズン開幕以来、主力選手のうち数名が入れ替わり故障離脱するという状況が現在までずっと続いており、ジダンが想定している(と思われる)ベストメンバーで戦った試合は、ここまでまだ1試合もない。

 12月2日に発表されたクラブW杯の登録メンバー23人には、11月23日に足首を痛めて離脱したガレス・ベイルを除き、レギュラークラスの主要メンバーが全員顔をそろえた。とはいえ、11月初めに中足骨を骨折したトニ・クロース、11月半ばにアキレス腱を痛めたアルバロ・モラタはデポルティーボ戦でやっと戦列復帰、中盤の守備を一手に担うカゼミーロもクラシコで復帰したばかりと、コンディション面に不安を残すプレーヤーもリストには何人か含まれている。

 こうしたチーム状態ゆえ、今シーズンのレアル・マドリーがピッチ上で見せるチームとしてのパフォーマンスは、必ずしも説得力のある内容とは言えないことが少なくない。にもかかわらず、試合が終わってみると結果だけはしっかり出しているところが、今シーズンのレアル・マドリーの大きな強みと言える。

 では、その強さの秘密はどこにあるのだろうか。
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著者プロフィール

1962年仙台市生まれ。95年から北イタリア・アレッサンドリア在住。ジャーナリスト・翻訳家として、ピッチ上の出来事にとどまらず、その背後にある社会・経済・文化にまで視野を広げて、カルチョの魅力と奥深さをディープかつ多角的に伝えている。2017年末の『それでも世界はサッカーとともに回り続ける』(河出書房新社)に続き、この6月に新刊『モダンサッカーの教科書』(レナート・バルディとの共著/ソル・メディア)が発売。

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