妥当な結果に終わったエル・クラシコ バルセロナの消極性が招いた同点弾
後半ATまでリードを保ったバルセロナだったが……
クラシコは試合終了間際に生まれたセルヒオ・ラモスの同点弾により、1−1の引き分けに終わった 【写真:ロイター/アフロ】
この一戦はバルセロナにとって大きなチャンスだった。この日もレアル・マドリーが築いた守備ブロックを突破する後押しとなるような戦術やシステムの工夫は見られず、ケイロル・ナバスが守るゴールマウスにたどり着くすべを見いだすことはできなかった。それでも、セットプレーのポジション争いの際、コンマ何秒の差でラファエル・バランに対して先手を取ったルイス・スアレスが豪快なヘディングシュートを決めたことで、後半アディショナルタイムまでバルセロナはリードを保つことができていたのだ。
チェスのような戦略的つぶし合いに終始したことで、バルセロナはプレーの創造性を欠き、ボールとのコンタクトを求めるリオネル・メッシが極端に低い位置まで下がってプレーすることを強いられた。一方のレアル・マドリーも右サイドのルーカス・バスケスがマテオ・コバチッチ、ルカ・モドリッチ、イスコとともに中盤での守備に従事したため、前線でクリスティアーノ・ロナウドとカリム・ベンゼマが孤立。彼らはほとんどプレーに関与できなかった。
モドリッチの好調ぶりが際立つ結果に
守備から攻撃にスイッチする際のつなぎ役として、モドリッチ(右)は重要な役割を果たした 【Getty Images】
レアル・マドリーも重要な存在であるガレス・ベイルとトニ・クロースをけがで欠いたが、それ以上に不在の影響を感じさせたのは、けが明けでベンチスタートとなったバルセロナのアンドレス・イニエスタだった。
本コラムでこれまで指摘してきた通り、ロス・ブランコス(レアルの愛称)のプレーはシステムを重視しないシンプルな構造で成り立っている。その傍ら、ジネディーヌ・ジダン監督は選手たちに全幅の信頼を寄せることで、チームが背負うプレッシャーを軽減し、落ち着いてプレーに専念できる環境を作り上げてきた。
今回のクラシコで最も際立ったのはモドリッチの好調ぶりだ。中盤から前線に至る部分ではパスの受け手が不足していたものの、彼は守備から攻撃に切り替える際のつなぎ役として極めて重要な役割を果たしていた。