小林祐希がアヤックス戦で感じたジレンマ チームは敗戦も、やれる手ごたえを得る
ファンを魅了した若きタレントの競演
クラーセン(左)と対峙(たいじ)する小林祐希 【Getty Images】
若きタレントの競演はファンを魅了した。デンマーク代表の19歳のストライカー、カスパー・ドルベリに対し、ヘーレンフェーンの20歳のセンターバック、ジェレミア・サン・ジュストはマンツーマンのように密着マークし、時には故意にファウルを仕掛ける。それでもドルベリは表情一つ変えることなく、淡々とサッカーをすることに集中し、「こいつは大物だ」と専門家をうならせていた。
『フットボール・インターナショナル』誌が7、『アルヘメーン・ダッハブラット』紙が6.5という採点を与えたように、小林は質の高いプレーをした。アヤックスのインサイドMFクラーセンとハキム・ジエクに対し、ヘーレンフェーンは小林とユネス・ナミルが見張る形となったが、アヤックスの中盤のキーマンはアンカーのラッセ・シェーネだ。
ゲームメーカー、チャンスメーカー、ミドルシューター、フリーキッカーとして卓越したものを持つシェーネだが、中盤の低いところでプレーするので、フリーになることが多い。小林は相手をよく研究したようで、アヤックスがビルドアップを始めると、クラーセンへのパスコースを消しながら、シェーネへプレスをかけにいった。その結果、アヤックスがロングボールを蹴らざるを得なくなることもしばしばあり、小林はクラーセンを視野に入れながら、スプリントで自陣へ戻ってルースボールを拾いにいった。
「自分が思った通りやれば良かったかな」
「(スタッフから)言われたことをやって(チームが)悪くなるのか、『自分が良いフィーリングだな』と思ったことを続けてチームが良くなるのか……。そこはちょっともどかしいというか、自分が思った通りやれば良かったかなと、そこを後悔してますね。
(前半は)守備も攻撃も、俺はすごいフィーリングが良かったんで、そのまま後半に入ろうと思ったら、怖がっちゃっているから『後ろに来い来い』って。 相手の25番(ドルベリ)は相当キープできるから、怖かったのは分かるんだけれど、今日は全部1対1で良かったんだよね。全部、今日はハメにいって。俺は90分やりたかった」
失点シーンはシェーネを起点に、ドニー・ファン・デ・ベークのアシストでクラーセンが決めたもの。後半の戦術では、ドリブルで良い間合いを作ってからパスを出すシェーネを防げなかった。だが敗戦の中でも、オランダのトップクラブ相手にやれるという手応えを小林はつかんでいた。
「フェイエノールト(2−2)、PSV(1−1)、アヤックスとやって、今日が一番俺的にはチャンスに直結するパスを出せた。意外と前に向けるなとか、慣れてきているなというのはすごく感じている」
テレビで見たクラーセン(23)は老け顔だから、小林(24)はベテラン選手だと信じ切っていた。
「俺より年下だなんて知らなかった。もう30歳ぐらいかと思っていたら、俺より下かよって(笑)。まあ、そういう奴がゴロゴロいるんで、もっとしっかりやっていかないといけない」
これで2位アヤックスは首位フェイエノールトと勝ち点で並んだ。一方、ヘーレンフェーンは順位を1つ落とし5位に付けている。
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