小林祐希は早くもチームのヒーローに!? ヘラクレス戦で送られたチャントの意味

中田徹

試合後、真っ先に聞こえた小林のチャント

3−1で勝利したヘラクレス戦後、スタジアムに鳴り響いたのは小林のチャントだった 【Getty Images】

 小林祐希が試合に出始めてから、ヘーレンフェーンはオランダリーグで5勝1分けという好成績を収めている。この5勝のうち、3勝が“3−0”、残り2勝が“3−1”というスコアを記録していることからも、今のヘーレンフェーンが攻守で安定していることがうかがえる。

 第10節のヘラクレス戦は3−1で終わった。相手チームもヘーレンフェーンのことを研究し始めたせいか、センターバック(CB)からのビルドアップのパスがカットされたり、斜めに飛ぶロングボールでDFラインの背後を狙われたりして、いつもより今ひとつピリっとしない試合運びになってしまった。それでも、右サイドバックの伏兵ステファノ・マルゾが先制ゴールを挙げ、エースのサム・ラーションが勝ち越しゴールを決め、20歳のCBジェリー・セント・ジュステが右足のスパイクが脱げたまま、40メートル以上をドリブルし強烈な左足シュートを蹴り込み、結局3ゴールを積み重ねたのだから、チームの勢いは本物だ。

 アベ・レンストラスタディオンに集まったファンがお祭り騒ぎをする中、この日のマン・オブ・ザ・マッチがセント・ジュステになったことが発表され、そしてタイムアップの笛が鳴った。しかし、真っ先にゴール裏のサポーターが歌ったのは「ユウキ・コバヤシ、オオオオオー」というチャントだった。この日の小林は、そこまでスーパーなプレーを見せたのだろうか?

現地記者からも高い評価を得る

小林は技術だけでなく、コミュニケーション能力も高く評価されている 【Getty Images】

 中盤の黒子に徹する小林は、とりわけ前半はチームを落ち着かせようと、あえてテンポを落とすパスを出したり、シンプルにボールをさばいたりしていたが、一対一の競り合いで相手の体勢を崩すこともなく、負けることも幾度かあった。相手にとって危ないゾーンに入って放った2本のシュートがあったが、「もうちょっと(スタジアムが)沸くようなシュートにしたかったという悔しさがある」(小林)というものだった。総合的には「今日は悪くもなかったけれど、良くもなかったです」という出来だった。

 採点するなら10点満点で“6”になるだろうか。しかし、これまでずっと小林に“6”か“6.5”の採点をし続けてきた専門誌『フットボール・インターナショナル』、全国紙『アルヘメーン・ダッハブラット』は共にヘラクレス戦の彼に“7”という高い採点を与えた。

『アルヘメーン・ダッハブラット』紙のニック・コク記者は試合終了後、私に「小林が日本代表に選ばれないのはなぜか?」と聞くなど、情報収集をしていた。翌朝、同紙に掲載されたのは「3位のヘーレンフェーンには実力のある2人のウインガー(ラーション、アルベル・ゼネリ)と、ヘラクレス戦で素晴らしいゴールを決め、輝かしい未来が待っているCB(セント・ジュステ)がいる。しかし、今度のフェイエノールト戦で注目すべきなのは、決してボールを失うことのない、イヤリングをした日本人。小林祐希だ」という小林にフォーカスした記事だった。

「小林は、ペレ・ファン・アメルスフォールト、スタイン・スハールスと3人で固く1つになったヘーレンフェーンの中盤を形成している。この2人は、それほど言葉を介すことなく小林とコミュニケーションが取れている。『なぜなら小林には生まれながらの素晴らしい洞察力があるからだ。僕がポジションから出ていくと、彼が自分をカバーしている。僕がボールを持ったときには、すでに彼は受ける準備を終えている』(スハールス)。『“ゴー、ゴー、ゴー”、“レフト”、“ライト”。彼はそんな言葉を言っている。それ以上の言葉は必要ない』(ファン・アメルスフォールト)」

 オランダのサッカートーク番組でも、小林の名前が出る回数が増えている。オランダの玄人たちは、小林の技術、戦術眼、コミュニケーション能力を高く評価しているのだ。

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著者プロフィール

1966年生まれ。転勤族だったため、住む先々の土地でサッカーを楽しむことが基本姿勢。86年ワールドカップ(W杯)メキシコ大会を23試合観戦したことでサッカー観を養い、市井(しせい)の立場から“日常の中のサッカー”を語り続けている。W杯やユーロ(欧州選手権)をはじめオランダリーグ、ベルギーリーグ、ドイツ・ブンデスリーガなどを現地取材、リポートしている

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