今季無敗、レアル・マドリー好調の秘訣 確固たる自信とジダンがもたらす落ち着き

ジダンが植え付けた実力主義のチーム内競争

実力主義のチーム内競争の中、アセンシオ(右)らバックアップメンバーが結果を残している 【写真:なかしまだいすけ/アフロ】

 ジダン監督の就任以降のプレー内容に関して言えば、レアル・マドリーの成功は戦術的進歩や毎試合の戦略、勝ち点3を呼び込んだ采配のディティールといった要素には大きく依存していない。

 むしろその逆で、今季のレアル・マドリーはさまざまな事情により先発メンバーを継続することすらできていない。今季は特に負傷者が多く、シーズン序盤はケイラー・ナバスやC・ロナウドを欠き、現在もセルヒオ・ラモスとルカ・モドリッチが離脱中である。

 昨季半ばに就任して以降、ジダンはまずベストの布陣とメンバーを模索し、それを見いだした後はメンバーを固定して戦いながら連係を高めてきた。現在は選手たちを煩わせるほど口うるさく戦術的指示を飛ばす監督などいなくとも、自然にチームとして動くことができているように見える。

 昨季終了までにジダンが行った唯一のメンバー変更は、カゼミロをアンカーに据えてトニ・クロースを一列前に上げることだった。その陰で犠牲となったハメス・ロドリゲスとイスコは、他の選手が優先起用されていることは明らかながらもチームに残った。彼らが与えられた出場機会を生かして状況の打開に努めているのは、ジダンが彼らに伝えている信頼が言葉だけではないことの証だろう。

 試合に出る選手はみな、それぞれ何らかの形で他の選手を上回る力を発揮しなければならない。その選手に代わって試合に出たければ、やはり何らかの形でさらなる貢献を果たす必要がある。開幕当初に活躍したキコ・カシージャやルーカス・バスケス、マルコ・アセンシオしかり、最近出番を増やしているモラタやマテオ・コバチッチしかり。ジダンはそんな実力主義のチーム内競争を植え付けることに成功したのだ。

年末にかけて、重要な試合が続く

チームに落ち着きをもたらしたジダンのもと、年内の重要な試合を乗り切ることができるか 【写真:ロイター/アフロ】

 結果を出す中で積み重ねてきた自信に加え、ベンチでは選手としてすべてを、しかもその大半は白色のユニホームを着て勝ち取ってきた男が監督を務め、周囲に落ち着きをもたらしてくれる。CLのレギア・ワルシャワ戦の引き分け(3−3)により、27試合(20勝7分)まで伸びた不敗記録を支えている要因。それがサッカーの内容以上に精神的な部分にあることは間違いない。

 これから年末にかけて、レアル・マドリーはバルセロナやアトレティコ・マドリーとのアウェー戦など、シーズンの鍵を握る重要な試合を迎える。現在の良い流れが一時的なもので終わるのか、それともより大きな糧となるのかは、それらの試合が決めることになる。

(翻訳:工藤拓)

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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