今季無敗、レアル・マドリー好調の秘訣 確固たる自信とジダンがもたらす落ち着き
ジダンが植え付けた実力主義のチーム内競争
実力主義のチーム内競争の中、アセンシオ(右)らバックアップメンバーが結果を残している 【写真:なかしまだいすけ/アフロ】
むしろその逆で、今季のレアル・マドリーはさまざまな事情により先発メンバーを継続することすらできていない。今季は特に負傷者が多く、シーズン序盤はケイラー・ナバスやC・ロナウドを欠き、現在もセルヒオ・ラモスとルカ・モドリッチが離脱中である。
昨季半ばに就任して以降、ジダンはまずベストの布陣とメンバーを模索し、それを見いだした後はメンバーを固定して戦いながら連係を高めてきた。現在は選手たちを煩わせるほど口うるさく戦術的指示を飛ばす監督などいなくとも、自然にチームとして動くことができているように見える。
昨季終了までにジダンが行った唯一のメンバー変更は、カゼミロをアンカーに据えてトニ・クロースを一列前に上げることだった。その陰で犠牲となったハメス・ロドリゲスとイスコは、他の選手が優先起用されていることは明らかながらもチームに残った。彼らが与えられた出場機会を生かして状況の打開に努めているのは、ジダンが彼らに伝えている信頼が言葉だけではないことの証だろう。
試合に出る選手はみな、それぞれ何らかの形で他の選手を上回る力を発揮しなければならない。その選手に代わって試合に出たければ、やはり何らかの形でさらなる貢献を果たす必要がある。開幕当初に活躍したキコ・カシージャやルーカス・バスケス、マルコ・アセンシオしかり、最近出番を増やしているモラタやマテオ・コバチッチしかり。ジダンはそんな実力主義のチーム内競争を植え付けることに成功したのだ。
年末にかけて、重要な試合が続く
チームに落ち着きをもたらしたジダンのもと、年内の重要な試合を乗り切ることができるか 【写真:ロイター/アフロ】
これから年末にかけて、レアル・マドリーはバルセロナやアトレティコ・マドリーとのアウェー戦など、シーズンの鍵を握る重要な試合を迎える。現在の良い流れが一時的なもので終わるのか、それともより大きな糧となるのかは、それらの試合が決めることになる。
(翻訳:工藤拓)