大坂なおみが秘める判断力と頭の良さ 杉山愛コラム「愛’s EYE」
爆発的なパワーに加わった安定感
大坂なおみは持ち前のパワーに加え、判断力に磨きがかかったことで安定感が増した 【Getty Images】
技術的なところでは、なんといっても時速200キロ近い、男子選手並みのサーブです。非公式には200キロを上回る記録も出していて、これは歴代でもトップ10、トップ5に相当するでしょう。このサーブ力は絶対的な武器になると思います。グラウンドストロークも、一発で決めるだけの爆発的なパワーを持っていて、フォアハンド、バックハンド両方から攻撃できるのも強みです。
最近の成長としては、安定感が出てきたことでしょう。単にドカンドカンと打つ選手は女子ツアーにもいますが、彼女はそうではありません。状況に応じて入れるべきところは入れる、しかも入れるだけでなく、ショットを安定させ、強く打った上で入れるということができる選手です。勝負すべき状況なのか、そうすべきではない状況、ニュートラルな状況なのかという判断ができる、その判断が正しいから安定感が増す、というわけです。無理に打ってもミスが増えるだけですから、そのあたりのバランスと判断力が良くなっています。
メンタリティーはすでにトップ選手並み
だからこそ、多くの選手が舞い上がってしまう四大大会のセンターコートや、期待されるが故に緊張感の高まる日本での国際試合でも、平然とクールに、自分のやるべきことに徹してプレーできるのでしょう。そこは彼女の強み、魅力と言えるでしょう。そうしたメンタリティーはすでにトップ選手並みと言っていいかもしれません。トップになるべくしてなる選手なのだろうなと思わせます。
全豪オープンでは予選を勝ち上がり、本戦3回戦に進出、初めてのセンターコートでビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)と対戦しました。本人は今までで一番緊張したと言っていましたが、その後、全米でセンターコートに入った時には緊張しなかったと言います。これも最初の経験を経験値としたからでしょう。その全米のマディソン・キーズ(米国)戦はタイブレークの末に悔しい負け方になりましたが、そこでもまた学習し、経験を積んだからこその、東レでの活躍だったのだと思います。