武豊 独占インタビュー第1回 過去から現在まで振り返る30年の歴史

スポーツナビ

デビュー30周年を迎えた武豊騎手に独占インタビュー 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

 デビュー30周年を迎えた武豊騎手。キタサンブラックで天皇賞・春制覇、エイシンヒカリで仏GIイスパーン賞を圧勝、ラニで米国三冠クラシックレース参戦など国内・海外でメモリアルイヤーを飾る活躍を見せている。

 その武豊騎手にスポーツナビがインターネットメディアとしては初となる独占インタビュー。30年の歩みを振り返ってもらうとともに、ターニングポイントとなった馬とレース、日本馬で挑む米三冠レースの可能性、今一番勝ちたいレース、そして40周年へ向けての抱負などをたっぷりと語ってもらった。

 第1回目は過去から現在を振り返る30年の歴史、不調からの劇的カムバック、そして2013年キズナで制したダービー後に開口一番に出た「僕は帰ってきました」の意味を聞いた。(取材日:2016年9月1日)

競馬への姿勢は30年ずっと変わらない

9月1日に新潟で開催されたトークショーには、平日にも関わらず徹夜組も出るなど約500人のファンが集まった 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

――デビュー30周年おめでとうございます。現在、全国各地で展開されている『デビュー30周年記念 武豊展〜名馬と共に歩んだ30年〜』の展示品、写真の数々は武騎手ご自身が選んだものなのでしょうか?

はい、そうですね。

――その思い出の品々を選ぶ中で、改めて思い出したことなどはありますか?

それはもうたくさんありますね。だから展示会の準備が進まないんですよ。この時はこんなことがあったなぁとか、トロフィーや写真を見て止まってしまうんですよね。全部に思い出があると言いますか、思い出というよりも当時を思い出しますよね。海外のものだったら色んなトラブルがあったなぁとか、色々と思い出します。

――今回の展示品の中で、エイシンヒカリで制したイスパーン賞のトロフィーに関してお伺いします。こちらのトロフィーは武騎手ご自身が運んだとか。

そうそう、ちょうど京都でこの展示会が開催された時ですね。日本に帰国した翌日が、僕が展示会に行く日だったので「これは一番のお土産になるな」と思って持って帰りました。ドバイのトロフィーもそうですよ。今年のUAEダービーを勝った時のですね。

エイシンヒカリで制したイスパーン賞のトロフィーに秘められた裏話とは?(写真は2015年香港カップ) 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

――そのイスパーン賞のトロフィーが税関で止められたという話も耳にしたのですが……

そうなんですよね(笑)。空港の職員の人から「何だ、これは?」って、すごい聞かれてましたよ。それで「自分はジョッキーで」と説明したら分かってもらえたんですが、そうしたら今度は周りの人たちが集まってきちゃって(笑)。いいから早く通してよと(笑)

――(笑)。そういった裏話もあるトロフィーなんだと、これから展示会に来るファンの方には見てほしいですね。

そうですね、1つ1つに思い出がありますからね。

――展示会にはこれまで武騎手が勝ったJRA・GIレース70勝のパネルが1枚ずつ飾られています。僕もそれを見て色々なことを思い出しました。

何かありますよね? その人なりに「このレースは誰と見に行ってたなぁ」とか「仕事でこういう時だったなぁ」とか。それが競馬の面白さなんですよね。

レースとともにあるその人その人の歴史が「競馬の面白さでもある」と武豊騎手 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

――そうした30年の武騎手の歴史が詰まった展示会ですが、20代の武騎手、30代の武騎手、そして40代の武騎手と、その時その時で競馬に対する向き合い方、気持ちの持ち方などで変化はあったのでしょうか?

当然やっていることは同じですけど、騎手全体の中での自分のポジションを振り返ると、20代はやっぱりまだ若手ジョッキーの一人ですし、30代はバリバリの中堅になってきて、40代はベテランになってきた。海外でのことを考えると、行き始めたころはそれこそ名前も全く知られてないところからのスタートだったので、そういう意味では30代、40代とやってきて、海外でも名前を覚えてもらえるようになったなぁということを思いますね。

――競馬への姿勢はずっと変わらない?

変わらないですね。これからもそうなんですけどね、気持ちは変わらないです。

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