リーガ3強を脅かすチームは現れるか? EL3連覇のセビージャにかかる期待

セビージャが3強を脅かす存在に?

EL3連覇など実績を残したセビージャ。3強のタイトル争いに割って入ることはできるだろうか 【Getty Images】

 リーガ・エスパニョーラ開幕とともに、再びさまざまな希望が動き出す。それは毎シーズンのことながら、今季は新たな質問を投げ掛けてみたい。長年レアル・マドリーとバルセロナの独占状態が続いてきた後、近年はアトレティコ・マドリーを加えた三つ巴の争いが繰り広げられるようになったが、今季は3強のタイトル争いに新たなチームが加わる可能性はないだろうか。

 もし、3強を脅かすチームが現れるとすれば、それはセビージャだろう。その根拠はヨーロッパリーグ(EL)3連覇という実績だけではない。今夏のUEFAスーパーカップではレアル・マドリーをあと一歩のところまで追い詰めた(2−3)。スーペルコパ・エスパーニャでは2試合合計0−5で敗れたものの、少なくともホームの第1戦ではバルセロナを大いに苦しめた。

 今オフのセビージャは激動の夏を過ごした。チリ代表を率いてコパ・アメリカ2015を制したホルヘ・サンパオリ新監督が、就任まもなく母国アルゼンチンから代表監督のオファーを受けたからだ。最終的に彼はセビージャに残り、パリ・サンジェルマンに引き抜かれたウナイ・エメリ前監督が築いた黄金期を引き継ぐことになった。

大きな動きを見せていないレアル・マドリー

就任2年目となるジダン監督。今季は独自のフットボール哲学を確立し、チームに浸透させることが求められる 【Getty Images】

 アトレティコ・マドリーのディエゴ・シメオネ監督も、PK戦の末レアル・マドリーに敗れた昨季のチャンピオンズリーグ決勝後には、続投すべきかどうか考えをめぐらせたようだが、結局は“ロヒブランコ”(アトレティコ・マドリーの愛称。スペイン語で赤白の意)のベンチで6年目のシーズンを迎えることになった。

 シーズンを追うごとに戦力を増してきたアトレティコ・マドリーは、マティアス・クラネビッテルとルシアーノ・ビエットをセビージャに貸し出した一方、新たにニコラス・ガイタン、シメ・ブルサリコ、ディオゴ・ジョッタ、ケビン・ガメイロらを加えた。すでに過去数シーズンにわたって成功の歴史を築いてきたチームは、彼らの加入によってさらに質を高め、再びレアル・マドリーとバルセロナの間に割って入るべく、より一層のハードワークに励むことだろう。

 対照的に、毎夏ビッグネームの獲得で話題をさらってきたレアル・マドリーは、ユベントスとスペイン代表での活躍が認められたアルバロ・モラタの復帰を除いて、大きな動きを見せていない。

 目立つのはマルコ・アセンシオ、ルーカス・バスケスら若手の活躍だ。もちろん今季も前線にはBBC(ガレス・ベイル、カリム・ベンゼマ、クリスティアーノ・ロナウド)が君臨するわけだが、セビージャとのスーパーカップでは、彼ら2人とモラタが好パフォーマンスを見せた。その傍ら、ヘセ・ロドリゲスは出場機会を求めてパリ・サンジェルマンへと移籍している。

 くしくもスペイン人、南米人以外で唯一プリメーラ・ディビシオン(リーガ1部)のクラブを率いる監督となったジネディーヌ・ジダン監督は、ラファ・ベニテス前監督の後を継いだ昨季、選手たちと良好な関係を築き、チームを成功に導いた。2年目となる彼に課せられた大きな挑戦は、選手のタレントに勝敗を委ねるのではなく、独自のフットボール哲学を確立し、チームに浸透させることだ。

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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