安定感が際立ったバルセロナのリーガ制覇 8年で6度、飽きることなく勝ち続ける
終盤に失速するも、ラスト5節でスパート
今季もリーガを制したのはバルセロナ、8年で6回目の優勝を飾った 【写真:ロイター/アフロ】
まだ8節を残していた当時、既に人々の注目が優勝争いから2位争いへと移り始めるほど独走態勢を築いていたこともあり、アウェーでの上位陣との引き分けは悪い結果ではないと見られていた。この引き分けがチャンピオンズリーグ(CL)とリーガ・エスパニョーラを並行して戦う選手たちに向けられた1つの警笛だったことは、後に振り返ってみて初めて分かったことだ。
ホームにレアル・マドリーを迎えた翌節のエル・クラシコも、当時はさほど重要視されてはいなかった。試合前の時点でレアル・マドリーには勝ち点10差をつけていたし、5点差以上で大敗しない限り直接対決の成績で逆転されることもなかったため、この結果が大きな問題をもたらすことはないと考えられていたからだ。
だが1−2の敗戦に終わったこの試合は、選手たちに少しばかりの不安を残すことになった。そしてその不安は、翌週レアル・ソシエダに喫した0−1の敗戦によって増幅され、遂にはその後に続いたCL敗退と第33節バレンシア戦の敗戦(1−2)によって、シーズンを棒に振りかねない事態を招くまでに至った。
だがホームのカンプノウでバレンシアに敗れた直後、キャプテンのアンドレス・イニエスタが「もうミスを犯す余裕はなくなった」と言っていた通り、追い詰められたバルセロナがそれ以上ミスを犯すことはなかった。それはラスト5節でたたき出した24得点0失点という数字が物語っている。
シーズンを通して高いパフォーマンスを維持
アウェーでのクラシコに4−0で勝利するなど、バルセロナはシーズンを通して高いパフォーマンスを維持した 【写真:ロイター/アフロ】
バルセロナは11節の時点で単独首位に躍り出たが、タイトル争いの鍵はその翌週にあった。けが明けのリオネル・メッシをベンチに温存しながらゴールを重ね、ラファエル・ベニテス前監督率いるレアル・マドリーを4−0とたたきのめしたサンティアゴ・ベルナベウでのクラシコである。
当時のバルセロナとレアル・マドリーには埋めがたいほど大きな実力差があった。まだ就任して数カ月しか経っていなかったものの、既にこの時ベニテスは自身が耐えがたい状況に立たされ、解任へのカウントダウンが始まっていたことを理解していたはずだ。
クラシコ以降、バルセロナは極めて安定したパフォーマンスを保ちながら、勝利を積み重ね続けた。そのためあまりにも早い段階で結末が見えてしまい、今季は退屈なシーズンだとまで言われたほどだ。その後バルセロナが突然につまずき、ライバル2チームに逆転を許すぎりぎりのところまで追い上げを許さなければ、最終節まで優勝争いが長引くこともなかったはずだ。