米国遠征を終えた中島安里紗 貫いたスタイルと新しい発見

泉井弘之介

米国遠征を終えた中島安里紗にインタビュー 【LADYS RING】

 米国の女子プロレス団体「SHIMMER」に参戦したJWP女子プロレスの中島安里紗。JWPの無差別級チャンピオンとして臨んだ初の米国遠征では合計4試合を戦ったが、その戦いの中で何を感じたか。帰国前の中島に話を聞いた。

自分が普段やってることに自信があった

――中島さんにとって、初の米国遠征がすべて終了いたしました。合計4試合、どれもJWPのベルトを腰に巻き、国旗を背負っての登場だったんですが、これはどういう考えからだったんでしょうか?

 本当はベルト4本(JWP無差別級、JWPタッグ、デイリースポーツ認定タッグ、インターナショナルリボンタッグ)すべてを持っていきたかったんですど、荷物の関係で無差別だけになりました。でも、ベルトを4本持ってるってすごいアピールになることなので、本当は持って行きたかったなってちょっと悔しいですね(笑)。

――国旗に関してはどうでしたか?

 それは日本の女子プロレスというのを背負ってリングに上がる気持ちでいたので、すべての試合で背中に巻きました。

――通常、試合で海外に行くとどの選手も、いつもと違うスタイルになったり、ちょっと違うことを試したり、アピールを大袈裟にしたりと変化があるんですが、中島選手はあえて、自分のスタイルを貫いていましたね。

 そうですね。そのままでいきました。それは違うものを見せる必要がないというか、普段、自分が勝負しているもので十分かな、というのはありましたし、あとは日本の女子プロレスとそれ以外、っていうものの差別化っていうのもありました。それには自分が普段やってることに自信があるし、だからこそ特にあえて何かをするというわけではなくて。いつも通り普段やっていることをという感じですね。結果、それが最後の試合での「NAKAJIMA」コールだったり、「プリーズ・カムバック」コールにつながったと思っているので、変に合わせて米国のプロレスに寄せていく必要はないのかなって。

発想を変えて練習をやっていくのも面白い

自身をアピールできたが「100%だったか?」と言ったらそうでなかった 【LADYS RING】

――はい、実際の話、初戦と最終戦でお客さんの見方が違っていましたね。「NAKAJIMA」コールも最後は爆発的でしたし、「プリーズ・カムバック」コール(また米国に来てください、という意味)も起きました。すごく受け入れられたことは見ていても分かりました。全試合を終えてみて、3勝1無効試合という結果でした。振り返ってみて、JWP王者という部分を存分にアピールできたと思いますがいかがでしょうか?

 そうですね。今の中島安里紗というものをアピールできたと思いますけれど、「100%だったか?」と言ったらそうでなかったですね。まだまだ自分の中で出しきれなかったじゃないけど、もうちょっとここがいけたんじゃないかというような部分もあったと思います。

――これまで中島選手自身が外国人と試合することがあまり印象になかったんですが、特に違和感もなく、普通にいつもの自分を出せてたと思うんですがいかがでしょうか?

 はい。本当にまったく知らない選手、試合も見たことなければ、どんな選手かという情報も何もない状態での試合だったので、リングに上がって肌を合わせてみないと何も分からないっていうのはありましたけど、それが「こういうのも意外と楽しいな」と思いました。不安とかそういったものよりも「コイツどうやって出てくんのかな?」とか。私が今回、遠征で当たってきた選手はけっこうストロングスタイルな感じが多かったですけど、最後に対戦した選手(シャザ・マッケンジー)だけ、昔の自分みたいなピンクのコスチュームを着た、日本で言うアイドルレスラーみたいな感じに思えたんですね。そんな雰囲気なのかなと思ってたら、試合をやってみると、こうやったらすぐにやり返してくるみたいなところがあったので、本当にやってみないと分からないし、やってみたら面白いしというのがすごく発見でしたね。

――なるほど。試合を重ねるに従い、中島選手の中で楽しんでる雰囲気が伝わってきたんですけれども、自分の中の意識はどうだったんでしょうか?

 楽しかったです。最初は素の自分、次はそれにプラスアルファ、その次は楽しんでやるというように1つひとつに課題をつけていました。私は気持ちでぶつかっていく感じの試合が多いんですけれど、海外の選手って細かい切り返しが多くて、そういうのも闘ってて「こうくるか?」っていう面白みはすごくありましたし、ふだんのJWPの練習でも同じ練習を繰り返すのでなくて、そういう発想を変えてやっていくのも面白いなと思いました。

“中島ロス”のファンに元気な姿を!

“中島ロス”の日本のファンに元気な姿を見せたいと意気込む 【LADYS RING】

――米国のファンって日本のファンと沸き方が違うんですけど、実際の印象はいかがでしたか?

 みんなが盛り上がり方を知ってるんだなって。本当に衝撃的だったのが日本は基本5、6試合。前半3試合をやって、休憩があって、セミとメインっていうのが今の日本における女子プロレスの構成だと思うんですけど、休憩なしで10試合ぶっ通しでやって、15分ぐらいの休憩があって、また10試合あるっていう、一日掛けての女子プロレス祭りみたいな構成だったんですね。それで、お客さんはめちゃくちゃ疲れるんじゃないかって思ってたら、最初から最後まで全力で応援して、全力で盛り上がって、体力あるなって思いました(笑)。でも、それをさせるだけの女子プロレス祭り的な世界観が面白いですし、日本でもこれをやったら面白いんじゃないかなって思いました。それに、みんなお酒飲んで、ピザ食べてっていうスタイルもなんか良いなって。私が一番やりたいのって酒飲みながらプロレス見るっていうのが一番理想とする観戦スタイルなので。私は現役だからできないんですけど(笑)。

――それでは日本に戻りますが、帰国後の抱負をお願いします。

 はい、みんなが“中島ロス”になっていると思うので、日本のファンに元気な姿を見せたいですね。帰国後、一発目の試合がアイスリボンの後楽園ホール(3日)とJWPの道場マッチ(同日)っていうのが自分でもなんか良いなって。出発前の試合がJWPの道場マッチ(6月19日)だったんです。戻る時もJWPの道場マッチっていうのが私としてはすごくしっくりくるし、楽しみですね。土産話もそこそこに、そういうものは試合で見せれたらいいなと思います。JWPのチャンピオンとして海外に来て、なにも残せなかった……ってなったら、悔しいのは自分だけじゃなくて、JWPや日本のファンの人だと思うので、そういう部分では自分の戦いをしっかりできたし、みなさんの前でしっかり報告とかできると思います。あとはベルトですね。タッグもシングルも防衛戦をしなくてはいけないので、その相手だったりとか。あとは7月24日のJWP後楽園でやりたいカードもあります。それを、実現に向けていきたいですね。多分最高のカードを用意できると思うので、これからしっかり繋げていけたらなと思います。
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