水波綾、米国遠征でも熱さ全開! 中島安里紗のベルト挑戦は無効試合に

泉井弘之介

水波はいきなりタイトルマッチ挑戦

今年の“波女”になった水波綾は、海外でも熱さ全開! 【LADYS RING】

 米国の女子プロレス団体「SHIMMER」に、プロレスリングWAVEで今年の“波女”になった水波綾、JWP女子プロレスのJWP無差別級王者・中島安里紗、そしてWAVEの桜花由美が参戦した。

 水波は海外遠征2戦目では、いきなりの王座挑戦というチャンスにめぐり合った。現在、SHIMMERではSHIMMER王座、同タッグに次ぐ第3のベルトとして“ハート・オブ・SHIMMER”が誕生。次世代の女子プロレスを担う旗手にその挑戦権が与えられている。水波の挑戦はまさにその活躍ぶりが世界に認められたからこそ。国内でもタイトル奪取の機会がない水波にとって、初代王者であるニコル・サボイへの挑戦に、初の戴冠なるか、期待がかけられた。

 とは言っても水波本人はそれを知らされていなかった模様で、リングに上がってそれを知ったという。「まさか、タイトル戦とはビックリしたぜ、オイ! でもこれも海外ってことですぐに切り替えたぞ、オワオ!」と後に振り返ったように、全く知らずに試合に挑んだ。

 いつものように青と赤のハーフマスクで登場、リングサイドのファンとハイタッチをかわして入場し、タイトル戦セレモニーへと移行した。「ウオッシュッ!」とアニキ語を発して臨戦態勢を取った水波はまず、グラウンド勝負でスタート。しかし、押せ押せの迫力に思わずニコルもタイムのポーズ。

 水波のタックルから試合は動き出す。すかさず、ニコルが突進すると、体を崩してエプロンへ送り込む。そして、エプロンサイドのニコルにスピアーを決め、場外へ吹っ飛ばすと、水波もそれを追う。ニコルを抱え上げ、鉄柱にぶつけてダメージを与えるも、その後、助走を付けてのラリアットを狙うが鉄柱に誤爆。思わぬ大ダメージとなった。

 ニコルは水波を捕らえると、エプロンサイドでの腕ひしぎを決める。思わぬ墓穴を掘った水波だが、リングに戻ると、タックル、スピアーと続け、再び勢いがつく。唇に手を当てて、「チュッ」と音を立ててからのナルシストエルボーを決めた水波は、突進するニコルにパワースラム。そしてギロチンを落としたがカウント2。

 しかしニコルの延髄蹴りを食らうと腕ひしぎを狙われる。なんとか腕のロックは外さず。ここで、ナックル合戦。ニコルが打ち勝ち、水波をジャーマンに捕らえ、またも腕ひしぎの体勢に。逃げ切った水波は痛む右腕を使ってのラリアット。すかさずダイビングギロチンでトドメを狙いに行ったが、これは自爆に。このスキにニコルはダブルアームから、今度こそ腕ひしぎを決め、ついに水波からギブアップを奪った。

 敗れはしたが“アニキ”人気は急上昇。
「あー。関節をとられて負けてしまったぜ。なんか格闘技系の選手らしかったな。知らなかったぜ! でもまだまだ水波は突っ走るぜ、ウワヤー、おい!」と、水波はとにかく元気だ。

中島のベルト挑戦は乱入により無効試合に

中島安里紗とマジソン・イーグルのタイトルマッチは、乱入で無効試合となった 【LADYS RING】

 前日の「SHIMMER81」にて、JWP無差別級王座を掲げてマジソン・イーグルの前に現れた中島。このリアクションから、同王座への挑戦権をモノにした。

 SHIMMER参戦わずか2戦目にして、最高峰の王座へ挑戦するという機会はこれまでにも例がなく、中島、およびJWP王座の価値がこのタイトル戦に結びつけたといっていい。これはSHIMMER史上にも残る快挙だ。

 まずは日の丸を掲げて花道に姿を現した中島は、静かにリングへ一直線。一方のマジソンの入場には視線を逸らさず睨みを利かせた。中島のコール時には「JWPオープンクラスチャンピオン」という肩書きでコールされ、白とピンクのコールが飛ぶ。絶対王者であるマジソンの登場に、ファンも「レッツゴー・イーグル」のコールを送るも、一方では「アリサ」コールも起き、声援は互角。

 前半はグラウンドの立ち上がり。王者マジソンに対して一歩も引かない中島。JWPの伝統的レスリングを世界のファンに見せつける。マジソンは右腕を掲げて、手四つ勝負を挑む。リーチの差で届かない中島はすかさず背後に回るとマジソンをひざまづかせ、自身が高くなってから手四つ勝負へ。これには全米のファンも大喜びだ。膝蹴り、ドロップキックとたたみかけを見せる中島に、逆片エビ固めでスタミナを奪いに行くマジソン。中島はマジソンのキックをかわして右足を奪うと、そのままストレッチマフラーへと移行。この動きには館内から驚嘆の声が上がる。

 意欲的に攻める中島は、マジソンをロープに貼り付けると、背中越しへのドロップキック。そしてリング内に引きずりだすと、マウントパンチから三角締めへ。しかしこれを持ち上げて返すマジソン。イケイケの中島はストンピングの連打からランニングのニー。しかしマジソンもビッグブーツで返す。

 再びナックル合戦。マジソンの長身をも気にせず打ち込んでいく中島。ミサイルキックを連発するが、続くダイビングフットスタンプは空振り。それでもラリアットをかわすと、カサドーラへ。しかし、回転の途中でこれを静止したマジソンはそのまま持ち上げ、ジャーマン。かろうじてカウント2で返した中島だが続けざまにハーフネルソンスープレックスを食らう。中島も膝蹴りで反撃すると再びカサドーラからのフットスタンプへ。

 トップロープにのぼると追いかけるマジソンを振りほどき、フットスタンプを敢行。マジソンはこれをカウント2で返すと、中島は昨晩のフィニッシュとなったジャーマンを狙うがマジソンはこらえて投げられず。再びマジソンはハーフネルソンスープレックスに取り、さらにトップロープへ。ここでスパイダースープレックスを決めると、中島もダウン。

 試合は白熱の好勝負となり、どちらにベルトが転がってもおかしくない状況となったが、ここでなんとバイパーが乱入し、マジソンへ襲い掛かる。バイパーは、セミ前にリングに登場し、「SHIMMERのベルトに挑戦させろ。このメンバーのなかで一番強い私が挑戦しないのはおかしい」とアピールしたばかりだった。

 不意打ちを受けたマジソンは場外転落。そのままダウンを喫した。ここでゴングが打ち鳴らされ、無効試合の裁定に。現SHIMMER王者と現JWP王者による夢の対決は、まさかの幕切れとなった。決着つかず。

 ここで中島が予期せぬ行動に出る。場外でダウンのマジソンのもとへ訪れ、「もう一回」のアピール。そして握手をかわすと、マジソンを引きずりおこし、肩を貸してともに引き上げた。中島の行動に観客からは温かい拍手が沸き起こった。「NAKAJIMA」の名前は確かにアメリカマットに刻み込まれた。

 中島は「これからってときに乱入されたので不完全燃焼でしたね。でもマジソンはとにかくでっかいというのが一番でしたね。でも、チャンピオンとしての器はすごく感じましたね。誰しもが認めるチャンピオン、みんなのチャンピオンって感じでしたね」とマジソンの実力を肌で感じ取った。海外でのタイトル戦を経て、中島のほうこそ、さらに器の大きなチャンピオンとなった印象がある。日本に帰ってからの中島が楽しみだ。

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