錦織ストレート勝利も気になるケガの状態 2回戦へ、師匠は雨天順延を祈る
ビッグサーバー相手にストレート勝利
いよいよ開幕したウィンブルドン。錦織は脇腹に不安を抱えながら、ストレート勝ちで2回戦進出を決めた 【写真:アフロ】
昨年に続いて第5シードの錦織圭(日清食品)は、ストレート勝利だったとはいえ、不安を抱えたスタートになった。相手のサミュエル・グロート(オーストラリア)は最高時速263キロを持つビッグサーバー。第1打、いきなり時速143マイル(時速230キロ)が掲示されて客席がどよめいた。だが、サーブが返されてからのレベルはガクッと下がり、世界ランクは124位。4月のチャレンジャーでは現在378位の吉備雄也(ノア・インドアステージ)にも負けている。
第1セット、錦織は早いタイミングのリターンで仕掛け、第1ゲームで早々とブレークポイントを握った。ここはグロートが時速200キロ超のサービスエースで逃げたものの、第5ゲーム、相手の足元にリターンを沈めて先にブレークに成功して第1セットを奪った。
幸先の良いスタートだったが、第2セットは荒れた展開となった。リターンを警戒したのだろう、グロートのファーストサーブの確率は46%まで低下。錦織がここでも第1ゲームにいいリターンウィナーを2本決め、相手のダブルフォルトもあっていきなりブレークに成功した。しかし、この日の錦織のサーブはまったく威力がない。ファーストサーブの平均時速170キロ、グロスのセカンドサーブ175キロより遅く、ミスも目立ち、第2ゲームにすぐブレークバックされてしまった。
脇腹の痛みは軽症ではない
この試合でもメディカルタイムアウトを要求した錦織。脇腹の不安を抱えながら、どこまで本来のプレーを見せることができるか 【写真:アフロ】
第5、第9ゲームをブレークしての2セット連取は、さすが余裕に見えたが、このセット間にメディカルタイムアウトを要求して、トレーナーに脇腹の治療を受けた。
前哨戦のゲリー・ウェバー・オープン(ドイツ)1回戦で脇腹を痛め、2回戦を棄権している。大会前には、痛みはほぼ完治し、気になるのは(芝での)試合数が踏めなかったことだと話していたが、ウィンブルドン入りしてからもサーブの練習は控えめだっただけに、痛みはまだ残っているのだろう。
第3セット、先にブレークを奪って迎えた第3ゲーム、15−0から4ポイント連続で落としてブレークバックを許し、危なかったのは5−5で迎えたサービスゲームだ。15−40とブレークポイントを2本握られた。脇腹の不安を考えれば、タイブレーク勝負は避けなければいけない。ここを懸命に乗り切ってサービスキープしたのが大きかった。気落ちしたグロートは第12ゲームにダブルフォルトを2本、錦織はそれを生かしてストレート勝ちを収めた。
記者会見場に、師匠のニック・ボロテリーの姿があった。
「明日は雨。試合ができなければ、(錦織の2回戦の)明後日も出来ない。祈ろう(笑)」
冗談交じりとは言え、脇腹の痛みが軽症ではないことを裏付けるような言葉だった。
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女子では奈良くるみ、土居美咲が2回戦へ
男子は第1シードのノバク・ジョコビッチ、第3シードのロジャー・フェデラー(スイス)、第6シードのミロシュ・ラオニッチ(カナダ)といった優勝候補が実力通りの強さを見せて初戦を突破。波乱と言えば、第17シードのガエル・モンフィスが同じフランスのジェレミー・シャルディーに敗れる小波乱ぐらいだった。
女子も全仏オープン優勝のガルビネ・ムグルサ(スペイン)、第5シードのシモナ・ハレプ(ルーマニア)ら上位勢がほぼ順当ななか、アナ・イバノビッチ(セルビア)が敗れた。
文:武田薫
■ウィンブルドンテニス
歴史と伝統の大会ウィンブルドンテニス。松岡修造以来のベスト8、そしてその先の優勝を目指す錦織圭の戦いなど、世界最高峰の試合を連日生中継でお届けする。
2016年6月27日(月)〜7月10日(日) ※7月3日(日)除く
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