武豊&ヒカリ欧州制覇目指し仏→英の旅 真の伝説的名馬へまず5/24イスパーン賞
武豊曰く、初めて乗る前は怖い印象だった
アジア制覇から欧州制覇へ! 武豊とエイシンヒカリが5.24仏イスパーン賞に挑戦 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】
ここで、軽くエイシンヒカリの戦績を振り返ってみるとする。元々、幼少時から体質が弱く、同世代が春のクラシック戦線を賑わせていたころにデビュー。初戦で5馬身差の圧勝劇を見せつけ、その後も全く危なげの無い勝ちっぷりで無傷の4連勝。瞬く間にオープンまで登りつめた。
そして、エイシンヒカリを語る上で最も重要となるのが伝説的となった5戦目のアイルランドTだ。4戦目までは関西地区で右回りしか体験したことがなかったエイシンヒカリ。初の東京遠征で初の左回りと若干の不安要素はあったが、これまでのレースを見る限りでは、普通に優等生的なレース運びで勝ち星を積み重ねていたことから特に問題はないだろうとされた。
ところが、レースも終盤に差し掛かった時に事件は起きた。
それまで普通に前を目指して走っていたエイシンヒカリがいきなりの進路変更。先頭を走っていて、何の障害物も無いにもかかわらず、一気に大外へ膨らんでいった。それも何らかのアクシデントで外へ行ったのではなく、明らかに馬の意思で外ラチ目掛けて暴走しだしたのだ。鞍上の横山典もこれには度肝を抜かれたことだろう。こうなってしまうと、多大なコースロスで惨敗は決定的となってしまうものだが、ここからがエイシンヒカリの凄いところ。何と外ラチ沿いを走りながらも後続との差をグングンと広げていく。終わってみれば2着以下を3馬身半ほど千切って快勝。潜在能力の高さと共に、常軌を逸している部分も露わにしてしまった。
評価は日本競馬のみならず世界中で鰻昇り
エプソムC(写真)、毎日王冠と武豊が完全に手の内に入れて重賞連勝を飾った 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】
昨秋は毎日王冠で2度目の重賞勝ちを収めた後、天皇賞では逃げることができずに9着に敗退。さすがにG1クラスでは厳しいのかに思われた。ところが、年末の香港Cではそれが愚考だったことに多くの競馬ファンは気付かされた。
香港では天皇賞での敗戦が影響して人気も無く、単勝オッズが38倍と穴馬的存在。しかし、レースでは果敢に逃げ戦法に打って出ると、そのまま孤独な一人旅は続く。直線では同じ日本のヌーヴォレコルトが懸命に追い掛けてくるも、エイシンヒカリのスピードは最後まで衰えることなくレコードタイムでゴール。悲願のG1制覇は海を渡った香港での国際G1の舞台となった。
この勝利でエイシンヒカリと武豊の評価は日本競馬のみならず世界中で鰻昇り。2015年のワールド・サラブレッド・ランキングでも日本馬ではトップとなる世界8位にランクイン。日本を代表するコンビとなった。