低迷するレッドソックス、復活のカギは? “ビッグパピ”最終年に高まる期待
ボストンのヒーローをもう一度大舞台へ
長年レッドソックスの主軸を務めたオルティスは今季限りでの引退を表明 【Getty Images】
「今年はオルティスにお別れする特別な1年だ。彼はボストンではスポーツを超えた存在。スポーツに興味のない人でも彼のことは知っているし、彼は地元に多くをもたらしてくれている。いつかコーチか監督として戻ってきても特に驚かない。ボストンで心から愛されているからね」
ボストン在住の熱狂的なレッドソックスファンの男性に“ビッグパピ”の存在について尋ねると、そんな答えが返ってきた。
オールスター選出9度、本塁打王1度、打点王2度のオルティスは、04、07、13年の世界一に大きく貢献。稀代のヤンキースキラーとしても知られ、近年のチームの象徴であり続けてきた。
振り返れば、ヤンキースのマリアーノ・リベラ、デレック・ジーターが相次いで引退を表明した13、14年、チームは2年連続でプレーオフを逸した。おかげで心置きなく2人の“フェアウェルツアー”に集中できる利点はあったが、何より“勝者”として知られた2人の最後に相応しい終焉(しゅうえん)とは思えなかった。
そんな姿を見た後で、レッドソックスは“ビッグパピ”を宿敵ヤンキースのスターと同じ形で送り出すことは避けたいはず。英雄をもう一度大舞台に立たせるべく、今季に必勝体制で臨んでくることは間違いない。
不安要素もあるが近年では最大の期待感
優勝を狙えるだけの戦力はあるが、不安要素も見え隠れするのが今季のレッドソックス。そういったチーム内で、上原浩治、田沢純一という日本人救援デュオにも今年は多くの重要な役割が回ってくるだろう。
球界屈指の守護神キンブレルが加わった後で、上原は主に8回に投げるセットアッパー役が濃厚。田沢は新加入のスミスとともに、中継ぎの切り札として相手のスラッガーと真っ向勝負する仕事が多くなるのではないか。
こうして、近年最大の期待感に包まれて臨む16年――。“少なくともポストシーズン進出”という公約を、レッドソックスは果たせるか。ドンブロウスキー氏以下のフロント陣は、必勝シーズンの途中に的確に補強できるか。緊張感のある場面での出番が増えそうな中で、日本人デュオは再び輝けるか。そして、最後のプレーオフ争いに向けて、オルティスは神通力をもう一度発揮できるか。
現時点で1つだけはっきりしているのは、ボストンのファンたちにとって、今季は間違いなく過去2年より興味深いシーズンになるということ。
そしてその事実を、宿敵ヤンキース以外の多くのベースボールファンが歓迎するのではないか。メジャーリーグの盛り上がりにボストンの役者たちはやはり不可欠。それだけに、2年連続最下位の後でも、多くのスポーツファンが依然として彼らの動向に注目しているのである。