最高の感触を抱くバルセロナ CLアーセナル戦は極上のショーに

公式戦無敗記録は30試合を超える

現在リーガ・エスパニョーラの首位を走るバルセロナ。2位のアトレティコ・マドリーとの勝ち点差は6ポイントに広がっている 【Getty Images】

 首位を走るバルセロナがリーガ・エスパニョーラのタイトルを失う可能性は、週を追うごとに低くなってきた。

 バルセロナは2月17日(現地時間)、延期分の第16節スポルティング・ヒホン戦を3−1で制した。これにより、直接対決を2試合とも制している2位のアトレティコ・マドリーとの勝ち点差は6ポイントに広がり、3位レアル・マドリーとは7ポイントにまで広がった。しかも残る14節の中で苦戦が予想されるライバルは、アウェーではビジャレアルとレアル・ソシエダの2チーム、ホームではレアル・マドリーとスペイン国王杯決勝でも対戦するセビージャくらいしか残っていない。

 とうとう公式戦の連続無敗記録は31試合を超え、ジョセップ・グアルディオラ指揮下の黄金期をも上回る前人未到の域に達した。ライバルと互角の内容に持ち込まれることもしばしばあるが、もはや圧倒的にゲームを支配する必要もなく「勝てる」チームとなった印象がある。

 特にバルセロナのホームでの強さは際立っており、第4節レバンテ戦の4−1、第8節ラージョ・バジェカーノ戦の5−2をはじめ、第11節ビジャレアル戦の3−0、第13節のレアル・ソシエダ戦、第17節レアル・ベティス戦、第19節グラナダ戦の4−0、第20節アスレティック・ビルバオ戦の6−0、そして第24節セルタ戦の6−1など、その大半でゴールラッシュを実現してきた。得失点差は+46(65得点19失点)にまで広がっている。

メッシ依存からの脱却に成功

トリデンテの1角を担うスアレスは現在24ゴールと、得点王争いのトップに立っている 【写真:ロイター/アフロ】

 得点源もメッシへの依存度が高かった数年前とは違い、前線のトリデンテ(3トップ)がバランスよく占めるようになっている。けがで2カ月の離脱を強いられたメッシは19試合出場15ゴールにとどまっているものの、23試合出場24ゴールを挙げているルイス・スアレスはクリスティアーノ・ロナウドを抑えてピチチ(得点王)争いの首位を維持。ネイマールもここまで17ゴールを挙げ、得点王レース3位のカリム・ベンゼマを2点差で追っている。

 2月14日にカンプノウで行われた試合を見なかった人には、エドゥアルド・ベリッソ率いる好チームであるセルタが一時は同点に追いついただけでなく、逆転のチャンスまで手にしていたと言っても、にわかには信じられないかもしれない。

 それだけ苦戦を強いられながらも、結局バルセロナは2−1とリードした時点で思い通りの試合展開に持ち込んでしまった。セルヒオ・ブスケッツやアンドレス・イニエスタらのタレントを駆使してボールとゲームをコントロールしつつ、相手が前に出てきたところを狙って3人の偉大なるアタッカー(メッシ、スアレス、ネイマール)が、正確かつスピーディーにダメ押しのゴールを積み重ねたのである。

 だが、バルセロナの6−1の大勝で終わったこの試合で語られるべきは、スアレスのハットトリックやメッシのパーフェクトな直接フリーキック、そして終了間際に加えたネイマールやイバン・ラキティッチのゴールにとどまらない。なぜなら、バルセロナの選手たちはライバルへのリスペクトを欠くことなく、ピッチ上でのプレーを楽しもうとする意欲を存分に発揮することで、われわれに極上のショーを堪能させてくれたからだ。

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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