自らの土俵で戦った青山学院大の強さ 箱根経験者の村澤と矢野が往路を解説

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圧倒的な強さで往路優勝を飾った青山学院大。勝負を分けたポイントはどこだったのか 【写真:アフロスポーツ】

 第92回東京箱根間往復大学駅伝競走(以下、箱根駅伝)の往路が2日、東京・大手町の読売新聞社前から箱根・芦ノ湖までの5区間、107.5キロで行われ、青山学院大が5時間25分55秒で往路2連覇を果たした。 2位は東洋大で5時間28分59秒、3位は駒澤大で5時間31分15秒だった。

 王者の風格ただよう圧勝だった。青山学院大は当日メンバー変更で1区に配されたエースの久保田和真が、2位以下を22秒引き離しトップに立つ。以後、盤石のレース運びで一度もトップを譲らず、5区の神野大地にたすきをつないだ。故障明けで万全ではなかった“3代目・山の神”だが、その影響を感じさせない力強い走りで箱根の山を駆け上る。“学生史上最強”チームを率いた主将が、最後は大きなガッツポーズを見せ、2年連続で歓喜のゴールテープを切った。

 勝負を分けたポイントはどこだったのか。そして3日に行われる復路に向け、追う大学の可能性やシード権争いの行方は――。元東海大のエースで3年連続2区を走った実績を誇る村澤明伸と、第89回大会で日本体育大の30年ぶりの優勝に貢献した矢野圭吾(共に日清食品グループ)が解説してくれた。

村澤明伸(東海大OB)

村澤は4区を走った田村和希を勝因に挙げる。同区の重要性について持論を述べた 【スポーツナビ】

「ポイントになったのは4区」

 近年は大きく動く区間がなくなりましたね。各大学ともにタイムのレベルが上がっていて、5区はまた違った適性があると思うんですけど、特に強い選手が集まる1、2、3区での差が小さくなっています。そうした中でいかにミスをしないかというところでうまくレースを運んだのが青山学院大だったのかなと思います。2位の東洋大、3位の駒澤大はミスがあったと言うよりは、計算されて区間配置された選手が思うような走りができていなかったように感じました。

 ポイントになったのは、青山学院大で考えると4区です。あくまでこれは僕のイメージなんですけど、4区を走るとなった場合、差を縮められないというのが第1条件なんですね。たぶんどのチームも1、2、3区と良い流れできているという想定でオーダーを組んでいると思うんですけど、青山学院大はそれだけに収まらず4区でさらに差を広げて、5区につなげた。青山学院大は4区の田村和希選手が2位との差を広げて、神野選手につなげたので、神野選手はリラックスして走ることができたんじゃないかなと思います。

 トップ争いは何事もなければ、このままの展開で進むと思います。ただ、やはり勝負に絶対はないですし、他の大学駅伝と比べて距離が長いので、1人のミスが致命的になります。でも、失敗がなければこのままいくのではないかなと思います。

 シード権争いに関しては、いかに最後までその圏内にしっかりいるかが最低条件で、そしていち早くその争いから抜け出るかだと思います。10位(拓殖大)と11位(城西大)が同タイム、そこから1分ずつくらいの間に7位の順天堂大くらいまでがいるんですよね(7位の順天堂大と8位の東海大が6秒差。東海大と9位の帝京大が51秒差。帝京大と拓殖大が54秒差)。1分ってちょうど見えるか見えないかくらいなんです。2分差まで持っていくことができれば、シード権争いから抜け出すことができるんじゃないかなと思います。視野に入るか入らないかは精神的にかなり大きいはずです。

 母校の東海大については、僕の知っている選手たちは今の4年生しかいないので、その選手たちが走るのかどうかは分からないです。でも、母校として頑張ってもらいたいなと思いますね。

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