錦織、経験値の差を見せた逆転勝利 「我慢強いプレーができた」

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錦織圭が2連覇の懸かる楽天オープンで初戦を突破 【末永裕樹】

 テニスの楽天ジャパンオープンが5日、東京・有明テニスの森公園で開幕し、2連覇を狙う錦織圭(日清食品)はボルナ・コリッチ(クロアチア)に2−6、6−1、6−2で勝利し、2回戦に進出した。

連続ブレークを許す波乱のスタート

 コリッチは1回戦の相手として考えられる、最も厳しい組み合わせと言っていいだろう。昨年末の102位から38位まで世界ランキングを上げてきた18歳。勢いもさることながら、フォアハンド、バックハンドとも穴のないショットは、ベースライン深くに届き、錦織得意のラリー展開からも、ダウンザラインへの切り返しを繰り出してミスが少ない。“新世代の旗頭”との評価通り、力強い立ち上がりにスタンドは息を呑み、肝を冷やした。

 錦織のサーブで始まった第1セットの第1ゲーム、日本のエースは波に乗れないところを攻められ、いきなりブレークされた。続く第2ゲームですぐ反撃に入ったのだが、コリッチに4本のブレークポイントを跳ね返されて0−2。その気持ちの落差が第3ゲームに出て、連続ブレークを許すという波乱のスタートだった。

「第1セットは攻め急いだところがあり、ファーストサーブの確率も低く、フリーポイントが少なかった」

 8月末の全米オープン1回戦敗退から、デビス杯プレーオフの2試合を挟んだとはいえ、ほぼ1カ月半、ツアー生活から離れていた。その点でも難しい1回戦だった。

 しかし、リズムを取り戻せば、やはり経験値には大きな差がある。第2セットは、第2ゲームを先にブレークして余裕が出てからは、自在なショットでコリッチを振り回し、6−1であっさりセットタイに。さらにファイナルセットはファーストサーブの確率を64%まで引き上げ、格上らしい攻めの試合展開で逆転勝利を収めた。

「第2セット以降は我慢強いプレーもできて、徐々にプレーへの自信もよみがえってきた。どの大会も1回戦は難しいですが、こういう形で大会に入れたのは、逆に良かったと思います」

ツアーファイナルへ重要な大会に

 昨年は全米オープンの準優勝から、ツアー250のマレーシアオープン、ツアー500の楽天ジャパンオープンを連続優勝し、年末のツアーファイナルに初めて名乗りを挙げた。全米オープンでの1回戦敗退を受けた今年は、プレッシャーのかかる敵地コロンビアでのデビス杯で気持ちをリフレッシュし、ゲンの良いクアラルンプールをあえてスキップ。楽天オープンでホームの利を生かして連覇し、その勢いで翌週の上海マスターズにつなげようという青写真に切り替えてきた。その先にツアーファイナルを位置付け、今回はただ名乗りを挙げるだけでなく、もっと上を狙って……。そのためにも、地元での連覇は欠かせないステップになるのだ。

 ところで、この日の第1試合で伊藤竜馬(北日本物産)に敗れた西岡良仁(ヨネックス)が「センターコートのサーフェスは、他のコートよりも球足が遅い」という感想を残した。球足が遅ければラリーが増え、ショットメーカーである錦織にとっては有利な条件。ただ、2回戦の対戦相手サム・クエリー(米国)はともかくとして、準々決勝にはマリン・チリッチ(クロアチア)、バーナード・トミック(オーストラリア)という手ごわい相手が待ち構えるだろう。目の離せない、熱い大会になりそうだ。

 この日のシングルスでは、伊藤、クエリー、錦織に加えて、イリ・ベセリ(チェコ)が内山靖崇(北日本物産)を倒して勝ち進んでいる。

(文:武田薫)

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