四国IL初となる北米武者修行の意味 選手の眼に感じた、人としての成長
1カ月にわたる北米での17試合
日本時間6月13〜29日に行われた四国アイランドリーグplusの北米遠征には、元日本ハムの正田樹(現、愛媛マンダリンパイレーツ)らが参加した 【山田次郎】
日本で興行を行っているプロスポーツリーグが、これだけの長期間にわたり、チームを結成して異国の地で公式戦を行うということ自体、前代未聞のことであり、全てが手探りの中で進められた。文字通りの武者修行であった。
本場の野球の層の厚さと厳しさを体験
選抜チームは平均年齢23歳という若いメンバーが主体となった(写真は香川オリーブガイナーズの原口翔) 【山田次郎】
四国ILは、だからこそ、今回の北米遠征を行う意味があると考えていた。
そもそも、独立リーグの存在意義の大きな柱の1つに、地域社会における若い人材の育成という点がある。
ここには、当然、さらに上のレベルで野球を続けることができる選手を育てる、という意味もあるが、この夢を実現できる確率は10%程度。裏を返せば、独立リーグは、残り90%の選手が夢をあきらめ、1人の社会人として生きていくスタートラインとなる場でもある。したがって、野球選手としてだけではなく、1人の人間としても成長できる場でなければならない。この意味において、未知の挑戦となる今回の北米遠征は、技術面の向上という観点からはもちろんのこと、生きていく上でのたくましさを身につけるという観点からも、計り知れないインパクトを若い選手たちにもたらしてくれるに違いない。そう考えたのである。
また、選手たちが目指す“さらに上のレベル”とは、基本的には、いわゆるNPBを指し、毎年10月に行われるドラフト会議で指名されることを意味する。しかし、世界は広い。これまでも何人かの実例はあるが、リーグとして、日本の野球界を飛び越えて、野球の本場である米国でプレーすることを夢見る選手たちの受け皿になることもできるのではないか、という戦略的な意味合いもあった。そのためには、リーグとして公式戦という真剣勝負の場を用意し、その中で、本場の野球、そして、とてつもない層の厚さと厳しさを、選手たちに体感してもらうことが重要であると考えていた。