福島にできた独立リーグ球団の思い 選手、GMそれぞれの震災から4年
福島活性化のために引き受けたGM
震災から4年。福島に誕生した独立リーグ球団・福島ホープス。監督には元メジャーリーガー岩村明憲(右)が就任した 【写真は共同】
「やっぱり今、厳しいですから、福島」と語るのは、巨人、西武などで活躍したゼネラルマネジャー(GM)の小野剛だ。
「こっちで事業をするようになって、福島という地を見た場合、とにかく人の動きがないんです。県外からも人は来ないし、県民も動かない。人口は減る一方。これじゃ発展するわけがない。そこにあの震災でしょ。だから、野球を通して、この県の活性化につながれば、と思って引き受けました」
引退後、大学院でビジネスを学び、実業家に転身した小野だが、手広く広げたビジネスのひとつに、福島・会津若松市のホテル経営があった。幸い、震災による直接の被害はなかったが、予約のキャンセルが相次いだ。それまで、年4万人だった宿泊者数は、1万人前後のままで戻ることはない。
会津を野球合宿の聖地に
「福島復興の一部になりたい」(小野GM)という思いから、球団は地元の小中学生らを招いた野球教室を開いている 【写真提供:福島ホープス】
「幸い、ホテルの近くにグラウンドだけじゃなく、プールも体育館もあるんで、最悪、雨でもトレーニングできますよっていうのが売りなんです」
そんな小野に、福島球団立ち上げが話にのぼった際、白羽の矢が立てられたのは、ある意味必然だった。
GMとしてまず手掛けたことは、フィールドのスタッフ集めだった。
「来るわけねえだろって、最初はみんなに言われたんですけど」と、小野は笑って大物招聘(しょうへい)を振り返る。知人を通じて、東京ヤクルトを退団した元メジャーリーガー岩村明憲に接触した。NPBを目指し、独立リーグ入りを渋る岩村を説得し、兼任監督に据えた。口説き文句はやはり「復興」だった。
「野球やったからって、単純に元に戻るわけはないけど。福島復興の一部になりたい」
熱い思いを語る小野に、熱血漢の心が動いた。
「編成は終わりましたから、次は何人NPBへ送れるか、そして優勝ですね」