異なっていたNPB選抜選手の意気込み 思いの差が見えたプレー
1回無失点の投球を見せた安楽だが、制球を乱す場面が多く見られ、課題の残る登板となった 【写真は共同】
笑顔があふれていた安楽&高橋
同じように、高卒2年目の岸里亮祐(北海道日本ハム)も練習中は余裕の笑みを見せていた。「ホームランを打ちます」と冗談めかしながら、「相手はアマチュアなので特に気負いはない。気持ち良く送り出したいが、負けられない」と明るく宣言。ユニバーシアードの初戦(6日、韓国戦)まで1週間と迫り、緊張感にあふれた試合前練習をしていた大学代表とは対照的な雰囲気を醸し出していた。
だが、彼らの表情は試合後に大きく変化した。安楽は1回を無失点に抑えるが、先頭打者にストレートの四球を与え、その後も制球を乱す場面が多く見られた。高橋も6回から登板するが、大学代表の3番・吉田正尚に「自信を持っていた」というストレートを完璧に捉えられた右中間への一発を浴び、思わず苦笑いを浮かべた。
昨シーズン、イースタン・リーグ2位の安打数(107安打)を放った岸里も、試合では4打数無安打2三振。田中には149キロのストレートで空振り三振を喫し、試合前の笑顔がうそのように真剣な表情に切り替わっていた。「(大学代表の)投手は予想以上にレベルが高かった。中でも田中投手はプロでも通用する。初速と終速の差がなく、ホップしてくるようだった」と脱帽。悔しさを押し殺しながらも、早ければ2年後には実現するプロでの再戦へ、意識を切り替えていた。
プロの意地を見せた西武・山川
「4番・一塁」でスタメン出場した山川穂は、初回からその緊張感を良い意味でさく裂させる。2死三塁のチャンスで打席に入ると、2ボール1ストライクから右中間スタンドにうまく運ぶ先制2ラン。守ってはその裏、2死二塁から大学代表の4番・茂木栄五郎(早稲田大)が放ったライト線を破りそうなライナーをジャンピングキャッチ。身長176センチ、体重100キロの大柄な体を目いっぱい使ったプレーでスタンドを沸かすと、その後も鳴り物応援のない球場中に響く声でマウンド上の投手を鼓舞し続けた。
攻守にわたる活躍が評価された山川穂は、試合後のお立ち台にも呼ばれ「シーズン中とは違う緊張感があった。恥をかかないように頑張ろうと思っていた」と、高卒選手には見られなかった“プロの意地”を見せつけた。