異なっていたNPB選抜選手の意気込み 思いの差が見えたプレー

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貴重なアピールの場にした中日・橋爪

攻守にわたる好プレー、そして、大きな声で存在感、“プロの意地”を見せた西武・山川穂 【写真は共同】

“アマチュアには負けられない”という思いを持っていたNPB選抜の中で、中日の育成2年目・橋爪大祐は、もう一つの思いを胸に試合に臨んでいた。育成選手にとって、支配下登録期限まで残り1カ月と迫ったこの時期はのるかそるかの瀬戸際。今季中に1軍でスポットライトを浴びるためには、少しでも早く球団フロント、首脳陣の目に留まらなければならない。そのことを橋爪も十分に理解していた。

 スタメン出場はならなかったが、7回裏の守備から出場。9回無死一塁、最初で最後の打席が回ってきた。ベンチの青山道雄監督(千葉ロッテ2軍監督)からは「セーフティバントを狙っていけ」と指示を受けた。マウンド上には東京六大学リーグ屈指の左腕・上原健太(明治大)。ここが自身最大の見せ場だと認識していた橋爪は、三塁線への絶妙なドラッグバント。三塁手にうまく処理され、惜しくも内野安打とはならなかったが、期待された役割を十二分に果たした。

 試合後に「良い経験になった。中日、他球団の首脳陣へアピールでき、ありがたい試合でした。自分の中では80点」と自己評価を下した橋爪。その表情はやりきった充実感にあふれていた。

NPB選抜にも意義ある試合に

 この試合の1週間前、記者会見を行った青山監督は「いい試合をしたい」と語る一方で、「立ち位置は難しいが、恥ずかしくないプレーをしてもらいたい」と、意気込みが異なるNPB選抜選手たちへの不安を口にしていた。事実、公式戦とは異なるモチベーションで試合に臨み、満足のいくパフォーマンスを発揮できなかった選手もいた。しかし、試合後の選手たちは、大学代表のハイレベルなプレーに感化され、数年後のライバルとなることを再認識していた。

 プロ野球の若手選手と大学日本代表がシーズン中に戦う画期的な試合となったこの一戦。ユニバーシアード(7月3日〜14日/韓国・光州)を目前に控えた大学代表はもちろん、NPB選抜の選手たちにとっても、意義ある試合となっただろう。

(取材・文:石橋達之/スポーツナビ)

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